2003年のSARS流行時と比べ、新型コロナウイルス感染による肺炎の発生後、中国の経済と社会では「オンライン消費」「クラウドワーク」「二次元コード防疫」といった当時とは異なる動きがみられた。こうした新しいトレンドについて国際メディアとウォッチャーは、ここ数年ににわたり中国で発展しているデジタルエコノミーが、防疫対策においても影響の緩和と抑制などの作用を発揮したと注目している。
新型コロナウイルス感染の流行が経済に及ぼす影響を評価する際、エコノミストの多くは経済構造、企業の経営状況、外部の経済環境、感染症流行のタイミングとサイクル、都市化率などをSARS流行時の状況と比較する。アナリストは、現在の中国経済には2003年にはなかった新たな特徴があるとの見方を示す。
まずは「オンライン消費」だ。世界最大のモバイルインターネットユーザーと非常に発達したプラットフォームエコノミーが、防疫対策期間の景気減退を和らげている。仏『AFP通信』は2月12日、中国の高度に発達したオンライン分野と8億5000万人に上るモバイルインターネット消費者が、感染症流行による経済への影響を緩和する可能性があると伝えた。
ボストン・コンサルティング・グループが先ごろ発表したリポートもこれを裏付けている。オフラインビジネスは大きな影響を受けているものの、オンラインプラットフォームのなかでも特にO2O宅配プラットフォームが新たなチャンスを生み出した。一部の飲料ブランドによる春節期間の販売状況をみると、スーパーマーケットでの販売は20%減、小規模ショップでは50%減となる一方、一般的な電子商取引で50%増え、O2O宅配プラットフォームで2倍を超える増加となった。
次に「クラウドワーク」だ。オンラインワークが急速に広がり、営業と授業を再開する新しい手段となった。SARS流行時と比べ、インターネットインフラの拡充と強大な演算能力を持つプラットフォームによって、数億人が同時にオンラインで通信することが可能となった。