新型コロナウイルス感染症により、人々の多くのオフライン生活が「一時停止ボタン」を押されたが、デジタルライフの「早送りボタン」も押された。デジタル政務、生鮮食品EC、オンライン問診、オンライン教育などの新業態・新モデルはオンラインサービスを提供すると同時に、「六穏(就業、金融、貿易、外資、投資、マインドの安定)」を促進し「六保(就業、民生、市場主体、食料・エネルギーの安全、産業・サプライチェーンの安定の確保)」に取り組む重要な力を蓄積した。中国の経済回復の一つの見所になった。
国家統計局のデータによると、中国人のデジタル消費能力が大幅に向上している。今年1−4月に社会消費財小売総額が前年同期比7.5%減となったが、実物商品オンライン小売額は8.6%増となり、社会消費財小売総額に占める割合が24.1%に上がった。それと同時に、サービス業はすでに中国経済の最大の産業になっている。うち生活サービス業が急成長の流れを示し、サービス消費額全体に占める割合が30%を超えている。
フードデリバリー配達員が最近、ネット上で注目の話題になっている。宅配員の需要が激増し、90年代生まれの多くの若者がこぞって参加し、都市の街を行き来する姿が定着している。なぜこの職業を選ぶのだろうか。収入がよく、時間が比較的自由で拘束が少なく、現地で就職できるといった理由がある。
フードデリバリー業界が労働市場で脚光を浴びているが、これは人材のデジタルサービス業への流動の流れを浮き彫りにした。今年の支付宝(アリペイ)社会責任報告書によると、生活サービス業が初めて金融業を上回り、オンライン転職で最も優先的に選ばれている。
国家統計局のデータによると、サービス業の対GDP比は昨年53.9%に達した。大規模なオフラインサービス業のデジタル化の完了に伴い、サービス業就業者もより良い雇用の見通しを迎えた。
それと同時に、インターネット、ビッグデータ、AIなどのデジタル技術の発展は、サービス業オフラインシーンのオンライン化、サービス業デジタル化モデルチェンジを推進している。またオンラインフードデリバリーが力強く成長しているのは、中国に比較的整ったAI、クラウドコンピューティング、ビッグデータの技術があるからだ。中国は現在すでに分刻みのスムーズな配送ネットワークを構築している。配達員の調整は0.55ミリ秒で完了し、1時間に29億回の配送を計画できる。配送時間は1時間から30分以内に短縮された。
防疫期間中のデジタルライフは、より多くの人のオンライン消費習慣を養った。需要側ではサービス業のデジタル化消費の流れがすでに形成されており、供給側にデジタル化モデルチェンジの加速を迫ろうとしている。
情報によると、サービス業は中国の国内総生産の過半数を占めているが、中小企業と個人事業主が中心となっている。小規模で分散型といった特徴を示しており、現在まだ80%のサービス業がデジタル化されていない。
アント・フィナンシャルは先ほど、「支付宝デジタルライフ開放プラットフォームを構築し、サービス業デジタル化に焦点を絞る。今後3年に渡り5万のサービス業者と協力し、4000万のサービス業経営者のデジタル化アップグレードを支援する」と発表した。
清華大学公共管理学院院長、サービス経済・公共政策研究院院長の江小涓氏は「中国にはデジタルサービス業発展の大きな優位がある。これは中国に世界最多の人口、最大規模の製造業、最も活力ある企業、次世代デジタル技術の積極的な発展といった要素があるからだ。デジタルサービス業が今後の新たな、重要な成長源であることは間違いない」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年6月8日