中国中央広播電視総台のラジオ放送「経済之声」の経済番組「天下財経」によると、今年に入ってから外国人投資家による中国債券の買い増しが続いている。最新統計によると、外国人投資家による中国債券の買い増しは5月末時点で18カ月連続となったほか、5月単月の純購入額は過去最高となった。専門家は、中国経済の足元のファンダメンタルズは安定しており、資本市場の対外開放の歩みも加速していることから、人民元資産の魅力が日に日に高まっているためと分析する。
外国人投資家による中国債券買い、5月は人気過熱
中国銀行間債券市場の証券決済機関「中央国債登記結算(中央結算、CDC)」と「上海清算所」が発表した最新統計によると、5月の外資による中国債券の純購入額は1145億9400万元と単月で過去最高となった。外国人投資家による中国債券の保有高は2兆4千億元を上回り、債券市場における保有比率は2.61%と、こちらも過去最高を記録した。
中国本土と香港間の債券相互取引制度「債券通(ボンドコネクト)」関連業務を担う債券通公司の発表によると、同制度を通じた外国人投資家による中国債券買いが過熱し、5月の出来高は5824件、売買代金は4682億元、1日平均売買代金は260億元と、いずれも運用開始以来の過去最高を更新した。
外国人投資家による中国債券買いが過熱する理由について、中国民生銀行の温彬首席研究員は、中国で新型コロナウイルスの感染拡大をある程度抑制できていることと、中国経済のファンダメンタルズの「穏中向好」(安定を維持しつつ改善に向かう)が続いており、外国人投資家のセンチメントが改善していることを挙げた。
中国福建省の準大手銀行、興業銀行と華福証券の首席エコノミストを務める魯政委氏は、こうした外国人投資家は年々、国内債券市場にとって軽視できない存在になってきていると指摘。多様化する動きは中国債券市場の安定性を高めるとともに活性化も促したと評価した。