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japanese.china.org.cn |07. 07. 2020

アフターコロナの時代、国際大都市は何処へ向かう? 周牧之VS横山禎徳対談

タグ: 都市発展


 周牧之:実は製造業に比べて、IT産業の大都市集中傾向はさらに強い。


 IT産業は典型的な交流経済として、開放、寛容、多様性の文化環境が求められている。それに対して、沿海都市や中心都市は最もこのような環境を備えている。


 雲河都市研究院が発表した“中国IT産業輻射力2018”のトップ10は、北京、上海、深圳、成都、杭州、南京、広州、福州、済南、西安であった。これらの都市は中心都市と沿海都市のどちらかに限られる。中国のIT産業就業者数、メインボード(香港、上海、深圳)IT企業上場数に占めるこのトップ10都市のシェアは、それぞれ53%、76%に達している。


 横山禎徳:『現代の二都物語-何故シリコンバレーは復活しボストン・ルート128は沈んだか』という本にあったように、ボストンの周りのルート128と、シリコンバレーをみると、IT関係ベンチャーの展開でシリコンバレーが優位になった。いろいろ理由はあるが、重要なのは人が出会い交流する頻度が、明らかにシリコンバレーの方がルート128より高かったからだ。カリフォルニアの過ごしやすい気候や外向的な人の気質もあるようだ。 


 ソフトウエア開発が重要になるとまた広がって、マイクロソフトがスタートしたシアトルがトップになった。アマゾンも拠点を構えている。いまやニューヨークに集まり始めた。マンハッタンではいろいろな施設が歩いて行ける範囲内にあることも有利だ。集積都市や地域が時事刻々変わることはあっても、基本的条件は、まず人が出会わなければならない。


 周牧之:日本のIT産業はさらに高度に東京に集まっている。東京大都市圏は、東証メインボード上場のIT企業の8割を占めている。


 製造業輻射力、IT産業輻射力と都市機能との関係を比較するとその秘密がわかる。例えば、広域インフラから見ると、製造業輻射力は、コンテナ港利便性との関係が最も深い。これに対して、IT産業輻射力にとっては空港の利便性が最も大切だ。


 都市のその他輻射力との関係から見ると、製造業輻射力との相関関係が高いのは、科学技術輻射力や金融輻射力である。これに対して、IT産業輻射力と最も相関関係が高いのは、飲食・ホテル輻射力、文化・スポーツ・娯楽輻射力であった。

 とくに注目すべき製造業輻射力は、高等教育輻射力、医療輻射力との相関関係はそれほど高くなかった。それと相反して、IT輻射力と高等教育輻射力、医療輻射力との相関関係は高かった。


 要するに、IT産業に集まる人々は、飲食、文化、娯楽、高等教育、医療への要請が高い。これらのアメニティが揃っている大都市が魅力的だ。


 横山禎徳:ファンドマネージャーは一人でじっくり考える環境を好む。私は昨年、『中国都市総合発展指標2018』に都市アメニティの重要性を訴える論文を寄稿した。

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