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japanese.china.org.cn |07. 07. 2020

アフターコロナの時代、国際大都市は何処へ向かう? 周牧之VS横山禎徳対談

タグ: 都市発展


 2.「里山」式の都市発展を


 周牧之:大都市からの脱出願望は根強いものがあった。例えば35年前、アメリカの未来学者、アルビン・トフラーが『第三の波』の中で、情報社会を予測した。彼の予測はほとんど的中し、情報革命によって田舎でも効率よく情報社会での仕事をこなせるようになった。しかし人々の大都市からの脱出は現実にはならなかった。反対に情報革命は、大都市化、メガシティ化を推し進めた。


 横山禎徳:都市からの脱出はあくまで願望だ。東京への一極集中を激しく批判する建築家と議論したことがある。その人に、今、どこに住んでいるのかと聞くと東京都区内だった。「どこか地方に引っ越しされてから議論しましょう」といったが、このような人たちが結局、最後まで都市に居続けている(笑)。都市には都市特有のアメニティがあるからだ。


 周牧之:都市作りには反省すべき点もある。これまで、都市づくりの中で、自然との関係は、うまく処理できなかった。これが、感性豊かな人々に都市からの脱出願望を生じさせたのも当然だろう。


 横山禎徳:人と自然との関係はある意味では臨界点に達した。人類の過度な開発は、すでに地球というシステムの自己修復能力を超えはじめているようだ。新型コロナウイルスパンデミックには、そうした背景がある。ウイルスも細菌も媒介動物も然りで、昔は一カ所にのみ生存していたのが、分布図が広がった。人の居住範囲が広がりすぎたことも影響しているだろう。その結果としての環境破壊は地球の生態バランスを壊した。


 周牧之:陸でも海でも異変は起こっている。過度な開発、地球温暖化で、もたらされた。


 横山禎徳:その通りだ。ウイルスは我々と同じ生命システムの一部であり、撲滅はできない。ワクチンが出来て今回のウイルスを押さえ込み、収束したとしても、今後さらに強いウイルスが出てくる可能性は常にある。


 周牧之:ウイルス感染症が地球に与えるダメージに関しての危機感が必要だ。しかし先進国でも世界機関でも長期にわたり感染症の脅威を軽視してきた。


 世界経済フォーラム(WORLD ECONOMIC FORUM)が公表した「グローバルリスク報告書2020(The Global Risks Report 2020)」に並ぶ今後10年に世界で発生する可能性のある十大危機ランキングでも、感染症問題は入っていなかった。また、今後10年で世界に影響を与える十大リスクランキングでは、感染症が最下位だった。


 不幸にして世界経済フォーラムの予測に反し、新型コロナウイルスパンデミックは、人類社会に未曾有の打撃を与えた。

コロナ禍で、多くの国際都市が被害を受けた。そのためグローバリゼーションや国際都市に対する悲観論が囁かれている。これに対して私は思うのは、ウイルスのパンデミックをもたらしたのは、国際交流や人口密度の多さではない。長期にわたり感染症対策を軽視したことによるものだ。


 横山禎徳:都市と自然の関係において、考え方を改める必要がある。

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