試験のより多くの内容が明らかになるにつれ、デジタル人民元の未来の実現シーンが徐々に明瞭になってきた。深セン市のデジタル人民元紅包(祝儀)試行の取引額は1週間で876万4000元にのぼった。全体を見ると、デジタル人民元の全国の試行シーンはすでに6700以上にのぼり、生活費の支払い、飲食サービス、交通機関、買い物、政務サービスなどの各分野の取引額が11億元を超えている。これと同時に中国人民銀行デジタル通貨研究所はすでに滴滴出行、京東数科などの企業と戦略的協力関係を結んでいる。デジタル人民元のオフライン決済シーンの拡大の余地が広がった。
デジタル人民元の漸次的な普及は、既存の決済方法にも深い影響を及ぼす。中国人民銀行デジタル通貨研究所所長の穆長春氏は、デジタル人民元の使用シーンを次のように描き出した。双方の携帯電話にデジタル人民元のデジタル財布があり、充電が切れていなければ、2台の携帯電話を重ね合わせることで一方のデジタル財布内のデジタル人民元をもう一方に振り込むことができ、ネットワークさえ必要ない。こうなれば一部の過疎地で通信が途絶えることで正常に携帯電話による決済が利用できない問題が解消される。銀行口座と紐づけする必要がなく手数料も発生しないといったメリットは、一般消費者にとっても魅力的なはずだ。
招連金融の首席研究員である董希淼氏は「電子決済レベルに関しては、デジタル人民元の支付宝や微信支付などへの影響は、主にデジタル人民元関連ハードが十分かどうか、また末端ユーザーが既存の決済習慣を変えてデジタル人民元を受け入れたがるかにかかっている。しかしデジタル人民元がプライバシーをより良く保護し、同時に決済システム間の壁を越えることができるため、デジタル人民元の応用は徐々に決済方法を再構築する見通しだ」と分析した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年11月14日