「十三五(第13次5カ年計画、2016年~2020年)」期間中、中国は社会保障制度を徐々に改善し、適用範囲の拡大や保障水準の向上、管理サービスの最適化・標準化を進め、世界最大の社会保障制度を構築した。これにより、国民の「獲得感(利益を得ることによる満足感)」や幸福感、安心感が高まった。
中国江西省吉安市峡江県戈坪郷汀溪村に住む鄧友根さん(66歳)は一人暮らしの高齢者。年金の給付対象年齢に達しているものの、保険に未加入だったため、給付対象から外れていた。同県社会保障局の職員がビッグデータの照合作業中にこのことを知り、無料で城郷居民基本養老保険(都市・農村住民年金保険)の申請手続きを行い、鄧さんが年金を受け取れるようにしてあげた。
鄧さんのような保険加入対象でありながら加入していない住民が社会保障を受けられるようにするため、
中国では「十三五」期間中に、社会保障史上、最大規模かつ最も広範囲に保険の加入・登録活動を行った。被保険者数を洗い出し、13億9000万人分の基礎データを網羅した国民皆保険のデータベースを構築したほか、「重点群体」と呼ばれる就労困難者に的を絞って保険加入を進めるなど、各種社会保険の対象範囲を継続的に拡大させた。
今年10月末時点の全国の保険加入者数は、老齢基礎保険が9億9200万人、雇用保険が2億1400万人、労災保険が2億6400万人となっており、いずれも「十三五」期間の目標を前倒しで達成。「建档立卡」に登録された貧困者のうち、計5949万人が基本養老保険に新規に加入し、加入率は99.99%とほぼ皆保険を実現した。中国の養老保険(年金保険)の加入者数は現時点で世界全体の3分の1を占め、世界最多の加入者数を誇る年金保険制度となっている。
社会保障制度を継続的に整備することは社会にとって安定をもたらす効果がある。中国は2015年から2019年にかけて、加入者の権利や利益を保障した上で社会保険料の引き下げを6回行い、企業コストの一段の削減を図った。今年に入ってからは、雇用の安定と拡大に向け、企業社会保険料の段階的な納付減免策を打ち出し、「免除・減額・猶予」の3つの措置を発表した。今年1月から10月にかけて、3種の社会保険料(企業年金保険・失業保険・労災保険)の減免額は1274億1000万元、猶予額は6550億元に上った。
「十三五」期間中、中国は公共サービス施設と情報化プラットフォームの建設を強化し、社会保障カードプロジェクトを実施。今年11月末時点で、全国の社会保障のカード保有者数は13億3200万人と、全人口と全市区町村の95%をカバーし、「十三五」期間の目標を前倒しで達成、かつ目標数値を上回っての達成となった。健康保険証や年金手帳など社会保障機能を一体化した社会保障カードのうち、電子カードの発行枚数は3億1400万枚に達した。利用者は419本のアプリやミニプログラムなどからを通じて同サービスにアクセスできる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年12月12日