中国海関総署(税関)がこのほど発表した統計によると、新型コロナウイルスの感染症流行がグローバル貿易に大きな打撃を与える中、2020年の中国による対ラテンアメリカおよびカリブ地域(以下、「ラテンアメリカ地域」)貿易は安定を保った。同地域の対中輸出は0.1%の増加となり、中国の同地域に対する輸出構造も多元化した。
専門家は、感染症の流行中に双方が産業とリソースの強みを発揮したことで需給がつり合い、貿易の依存度が増しており、貿易協力の粘り強さと潜在力を示したと見ている。
中国はラテンアメリカ地域にとって第2の貿易パートナーで、同地域は世界のうち対中輸出の伸び率が最も高い地域の一つとなっている。中国海関総署の統計によると、2020年の同地域の対中輸出は前年比0.1%増の約1658億7900万米ドルだった。
ブラジル人エコノミストのブルーノ・デコンティ氏は、ラテンアメリカ地域の主要貿易相手国が感染症流行の影響を受けて経済リセッションに陥る中、中国が2020年に世界で唯一プラス成長を果たした主要経済国として同地域の輸出の「救世主」になったとしている。
国連ラテンアメリカおよびカリブ経済委員会のリポートによると、感染症流行の影響によって、2020年のラテンアメリカ地域の輸出は13%減少し、うち米国とEU向け輸出がそれぞれ14%減、13%減になった。一方、中国は感染症流行を素早く抑制して経済回復を果たし、2020年3月以降は同地域からの農産物及び鉱産物の対中輸出が持続的に伸びた。
中国社会科学院ラテンアメリカ研究所経済研究室主任の岳雲霞氏は、ラテンアメリカ地域が感染症流行によって経済リセッションに陥ったにも関わらず、対中輸出が増加したことは容易ではなく、同地域の農産物と資源製品に対する中国の需要が依然として大きかったことを示していると説明した。