インドで感染拡大、世界経済回復への影響は?

インドで感染拡大、世界経済回復への影響は?。

タグ:インド 感染拡大 世界経済回復

発信時間:2021-05-07 14:50:21 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 インド保健省が6日に発表した新型コロナウイルス関連のデータによると、インドの新規感染者数と新規死者数がいずれも過去最多となった。世界保健機関(WHO)のデータによると、インドの先週の新規感染者数は世界の46%、新規死者数は約25%を占めた。

 

 インドの感染状況の持続的な悪化は同国の経済回復に影響を及ぼし、世界の経済回復にも多くの悪影響を及ぼすと分析されている。まず、インドの感染状況の悪化は世界の防疫の足を引っ張り、世界の経済回復の基礎を脅かす。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は以前、ワクチン接種のペースアップは世界の政治家の最重要任務であり、「腕に1本打つことは、経済回復の最もスムーズな手段だ」と述べた。一部の公衆衛生専門家は、インドのこの一波が猛威を振るい衰えの兆しも見えないことから、新たな変異株をもたらし世界の防疫に深刻な課題を突きつけると懸念している。

 

 次に、インドのワクチン不足により医療資源が枯渇し、世界の経済回復の不均衡を深刻にしている。世界の感染状況は現在、二極化を呈している。米国や英国などの先進国で感染状況が好転し、経済が着実に回復しているが、多くの発展途上国では新規感染者数が過去最多になり、経済回復の足を引っ張っている。世界のワクチン接種で演じるインドの役割は、支援国から被支援国に移り変わっており、世界のワクチン資源を枯渇させている。

 

 米誌「アトランティック」によると、インド血清研究所は世界最大のワクチンメーカーであり、WHOが主導するワクチン分配の国際枠組み「COVAXファシリティー」の最大のサプライヤーでもある。インドの現在の感染状況から判断すると、インドの既存の毎月7000万回分の生産能力では国内の需要を満たせず、そのためワクチン輸出が激減している。インドはさらに医薬品の輸入を余儀なくされている。その結果、多くの発展途上国が予定通りインドからワクチンを輸入できなくなっている。

 

 さらに、インドの感染対策の強化によりサプライチェーンが逼迫し、業界に連鎖反応が生じている。英紙「フィナンシャル・タイムズ」によると、貨物船で感染が発生するリスクを懸念し、一部の国と地域はインドからの便と人員を対象により厳しい防疫規定を設けている。これは多くの海運企業に人員調整の圧力をもたらしている。

 

 国際海運会議所(ICS)のデータによると、遠洋船舶で働く世界の人員はおよそ160万人で、うちインド人は24万人。世界の貨物貿易の8割を海運が担っていることを考えると、インドの感染状況が海上貿易にもたらす影響をあなどれない。国際船舶マネージャー協会のマーク・オニールCEOは、「人員調整の苦境がサプライチェーンに及ぼす衝撃と比べると、3月に発生したスエズ運河の船舶座礁など大したことではない」と例えた。

 

 米国商会のエグゼクティブ・バイス・プレジデントは、「多くの欧米企業が後方支援事業をインドに置き、数百万人のインド人を雇用している。今や感染症がこの事業を脅かしており、欧米企業の経営の足を引っ張る可能性が高い」と話した。

 

 インドで最近、感染状況が悪化していることから、インドの経済回復に対する楽観ムードが弱まっている。一部の機関は相次いで経済成長率の予想値を引き下げた。野村證券インド事業チーフエコノミストは、インドの経済成長率は今年第2四半期に前年同期比でマイナス1.5%になると予想した。INGグループアジア地域シニアエコノミストは、「一部の機関は現在も、インド経済が2桁台の成長を実現できると判断しているが、その根拠が脆弱になりつつある。すぐにまた下方修正されるだろう」と述べた。


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年5月7日

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