中国上海市で先ごろ、中国汽車工業協会の主催による「2021中国自動車フォーラム」が開かれ、中国政府の掲げる脱炭素目標のもとでの新エネルギー自動車の発展動向に注目が集まった。
生態環境部機動車排出監視センターの王軍方教授級高級工程師(プロフェッショナルエンジニア)はこの席で、「2060年までにカーボンニュートラル目標を達成するには、現行の対策では不十分であり、グランドデザインを策定する上で総合的に検討する必要がある」と指摘した。
中国は昨年、二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに減少に転じさせる「ピークアウト」と、60年までに実質ゼロにする「カーボンニュートラル(炭素中立)」の2つの長期目標を打ち出した。王氏は、中国のCO2排出量は27年から30年頃にピークを迎え、その後、2年から4年ほど停滞期が続く見通しだとした上で、60年の時点で炭素排出量はさらに1億から4億トンの余剰分があり、その分の削減に前倒しで取り組む必要があると訴えた。
中国では、1999年から2019年までの20年間で自動車保有台数は26倍に、CO2排出量は約4倍にそれぞれ増加し、交通・運輸部門で12億トン近いCO2が排出されてきた。王氏は「交通・運輸部門での自動車がCO2削減の鍵になる」とした上で、長期的には自動車産業でいかに新エネルギーの普及を進めるかが最も重要なCO2削減策になると指摘。また、バイオディーゼルや水素燃料など、交通・運輸部門でエネルギー源の多様化を進める必要があるとして、次の考えを示した。
「2035年までは、ピークアウトと汚染物質の相乗的な抑制に取り組む段階であり、ガソリン車から新エネ車への切り替えとその普及が主流になると考えている。老朽化した車両を廃棄することは、汚染物質とCO2の排出削減にとって一番の対策になる。2036年から60年までの間は、カーボンニュートラルを主体に自動車のゼロエミッション(ゼロ排出)を目指す段階であり、再生可能エネルギーの利用を強化し、炭素回収技術を向上する必要がある」