中国国務院弁公庁はこのほど、「科学技術成果評価メカニズムの整備に関する指導意見」「中央財政の科学研究経費管理の改革・整備に関する若干の意見」などの文書を印刷・配布し、中国の高水準科学研究発展に新たな政策指導を提供した。科学技術分野の「放管服改革」(行政のスリム化と権限委譲、緩和と管理の結合、サービスの最適化)を掘り下げ、科学技術発展を束縛する体制及びメカニズムの壁を打破し、科学研究者により多くの自主権を与え、国家実験室が率いる戦略的科学技術力を構築する。中国は絶えずこれら新たな措置を講じ、科学研究者の積極性を高め、科学研究力の力強い成長を促している。
「嫦娥」の月上陸、北斗のネットワーク構築、高速鉄道の疾駆、5G利用の円滑化――世界トップに名を連ねる中国の科学研究成果が増えている。海外メディアは、中国の科学研究面の多くの成果は、中国の科学研究の総合力の急成長を反映していると伝えた。
各分野で世界トップに
「日本経済新聞」は「中国の論文は数だけでなく、質の面でも急成長している。文部科学省科学技術・学術政策研究所はこのほど発表した報告書の中で、研究者による引用回数が上位10%に入る『注目論文』の数で、中国が初めて世界一になったと指摘。中国の宇宙開発面の実力の強化が続く。中国が打ち上げた無人探査機『天問1号』が今年5月、火星上陸に成功した。中国が打ち上げた探査機『嫦娥4号』が2019年に月の裏側に着陸し、人類の探査機として初めて月裏側の軟着陸を実現した」と報じた。
科学研究から技術開発に、成果の数から研究の質に至るまで、中国の各分野の科学研究能力及び科学技術力の急成長が海外メディアから注目されている。
ロシアのスプートニクは、中国は材料科学、化学・工学の科学研究の発展が特に顕著で、かつ人工知能(AI)分野でトップの地位を占めていると伝えた。米スタンフォード大学の2020年の研究報告書によると、学術誌に掲載されたAI関連論文の引用率を見ると、中国の20年の割合は20.7%で初めて世界一になった。理論研究面で世界をリードするほか、中国はAIの実践面でも成功を手にしている。中国の多くの都市が「スマートセンサー」やAIアルゴリズムによる都市経済の最適化を始めている。コロナ禍において、中国のAIアルゴリズムは大量のデータの分析を支え、「健康コード」を形成した。
在中国アルゼンチン大使のSabino Vaca Narvaja氏は、アルゼンチン紙「エル・クロニスタ」の取材に応じ、「中国は革新の潜在力を持つ大国だ。中国は近年、宇宙探査、AI、5G通信、クラウドコンピューティングなどの先端技術分野で大きな進歩を手にし、世界トップに立っている」と述べた。
BBCは「中国のグリーンエネルギー科学技術製造、例えばソーラーパネルや大型バッテリーの生産技術は世界をリードしているが、これは中国のカーボンニュートラルの目標達成を支える」と伝えた。英シンクタンク・海外開発研究所の研究員はBBCに対して、「中国はすでに世界のエネルギーモデル転換をリードしている。我々は今やより割安なグリーンエネルギーテクノロジーを使用できるようになったが、これは中国のおかげだ」と述べた。
科学研究の発展を促進
「日本経済新聞」は「積極的な投資と豊富な人材は、中国の科学研究力の発展を支える鍵だ。中国の2019年の研究開発費は54兆5000億円で、10年前より2倍以上に増えており、成長著しい。中国の現在の局面は、その戦略的計画の発展によるものだ。中国は2006年より『国家中長期科学・技術発展計画綱要』を施行しており、20年までに世界一流水準の科学技術力を持つとしていた。中国は研究開発の投資拡大を続けており、海外の技術への依存を弱めている。中国政府は以前、今後5年間で全社会の研究開発費の年平均成長率を7%以上にすると表明した。中国の現在の科学研究者数は世界最多の210万人」と伝えた。
緻密な発展計画、十分な科学研究人材、積極的な研究開発費の投入、豊富な実践データ――海外メディアは、中国の科学技術発展の豊富な成果は、各種要素の総合作用の結果であることに気づいている。
日本の「現代ビジネス」は、「世界の大学ランキングで、中国の大学の躍進ぶりが目覚ましい。『US NEWSランキング』の工学部世界トップ20校を見ると中国は7校で、うち清華大学が首位になっている。さらに『機械工学』に絞ると中国が14校だ。これらのデータから、中国が工学部人材の育成に力を入れていることが明らかだ」と報じた。
スプートニクは、「中国はAIを重要な戦略的意義を持つ研究分野としている。2017年には次世代AI発展計画を発表した。この計画によると、中国は世界のAI分野の中心的なイノベーションセンターになる。この政策性文書にはより具体的な補完がある。うちAI発展3カ年行動計画は、スマートカー、スマートロボット及びドローン、顔認証システム、音声、医用画像処理装置の分析といったスマート製品の発展をけん引する。中国のAI分野の成功は、中国が重要な競争力である大量のデータを把握しているためでもある。推算によると、中国のIoTとつながるデバイスは2030年までに80億台にのぼり、今よりさらに多いデータを生成する。2025年には世界の3分の1のデータが中国で生まれる見通しだ」と伝えた。
各レベルから経済発展を支える
オンライン雑誌「ザ・ディプロマット」は「イノベーションとデジタル化の発展は、中国経済の成長の潜在力をさらに引き出す」と報じた。中国の科学技術力の急速な進歩も、工業生産及び経済貿易発展にエネルギーを注ぐ。
英誌「エコノミスト」は、「中国は生産性向上により経済成長の潜在力を保とうと取り組んでいる。中国の工業はロボット集約型に邁進中だ。企業は工場の現代化の程度を上げ、産業高度化を実現しようと取り組んでいる。中国は現在、工業の現代化、さらなる都市化、一部の改革措置により労働生産性を高めようとしている。これには企業の自動化促進、特大規模都市クラスタの建設による高効率なサプライチェーンの形成、訓練による労働者の技能向上などが含まれる」と報じた。
日本の「朝日新聞」は、「中国は科学技術強国の建設ペースを上げ、AIなどの先端分野の技術研究開発を推進している。科学技術イノベーションは成長の鍵とされており、AI、量子情報、集積回路、ヘルスケアなどが国家重大科学技術プロジェクトに入っている。中国はさらに国家実験室の建設を推進し、北京、上海、粤港澳大湾区の国際科学技術イノベーションセンターの形成を支持している。将来的に中国は戦略的新興産業の発展を急ぎ、次世代情報技術、バイオ技術、新エネ車などの業界の発展ペースアップを特に強調する」と伝えた。
米ブルームバーグは、「ハーバード大の発展実験室の最新の研究によると、各国の2019年の輸出複雑性を判断基準とすると中国の世界の順位は16位で、輸出の技術水準が大幅に向上した。輸出複雑性は、一国の輸出商品の多様性、技術の先進性、輸出量を判断する。中国と米国という2大経済体間の差は過去10年で半分以上縮まった。中国の輸出貿易は現在、世界のほぼすべての既知の製品分野を網羅し、その順位はすでに一部の先進国を上回っている」と報じた。
ロシア中国分析センターの責任者は、「中国政府は近年、科学技術分野の投資拡大を続け、科学技術者の育成に力を入れている。自主革新に長期的な進歩、大きな成果があった。『第14次五カ年計画及び2035年までの長期目標綱要』は、国の戦略的科学技術力の強化、企業の技術イノベーション力の向上、人材のイノベーションの活力の引き出し、科学技術イノベーション体制及びメカニズムの整備などの面から手配した。中国政府は次々と関連政策を発表し、科学技術イノベーションを奨励している。中国企業及び人材のイノベーションの活力が引き出される」と判断した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年8月23日