昨年から生じている半導体不足は現在も緩和の兆しがない。自動車業界が苦しめられているほか、不足はその他の業界にも広がっている。業界関係者はすでに、世界の半導体の需給バランスが確保される時期の予想を来年、もしくは再来年に延ばしている。
半導体不足から受ける影響は自動車業界が最大だ。数カ月に渡る不足で、多くの有名自動車メーカーが相次いで操業停止、生産停止などの苦境に陥っている。その他の不確実要素が重なり、自動車販売台数に大きな影響が出ている。
自動車の値上げが始まっている。持続的な感染拡大、半導体不足、原材料高騰などの原因により、独自動車メーカーのフォルクスワーゲンとアウディの日本法人はこのほど、10月1日より日本で販売する大半の新車の値上げに踏み切ると発表した。米コックスオートモーティブ社のデータによると、米国の新車の平均価格は4万2000ドルにのぼっており、中古車も約2万5000ドルに急騰している。
世界半導体市場統計(WSTS)によると、昨年の世界の半導体市場の規模は4403億ドルと10年前の1.5倍にのぼった。今年と来年の市場は毎年10-20%のペースで成長し、記録をさらに更新する見通しだ。アップル、マイクロソフト、サムスン、テスラ、AMD、インテルを含む大手テック企業は最近の財務報告の中で、部品不足が次の四半期の潜在的な問題になるとした。
多くのメーカーは今年上半期、半導体不足が今年の下半期にも解消されると予想していた。ところが現在、半導体サプライヤー、自動車メーカー、その他の半導体利用者のいずれも、半導体供給不足がさらに一定期間続くと見ている。インテルは今後10年で欧州に半導体工場を8カ所建設すると発表したばかりだ。サムスンは170億ドルの投資でテキサス州テイラー市に半導体工場を建設する。クアルコムは、欧州のOME企業と協力し、自動車用半導体の生産量を拡大すると表明した。独ボッシュ社のドレスデンの半導体工場は今年6月、正式に竣工し稼働開始した。
また、需要の大きな半導体の不足により、自前の半導体の研究開発に取り組むテック大手もある。米CNBCの報道によると、アップル、アマゾン、フェイスブック、テスラ、百度が成熟した半導体企業を回避し、社内である面に特化した半導体を研究しているという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年9月10日