米『ワシントンポスト』は9月22日、「中国製品に対する米国の追加関税は米国企業の本国回帰につながらず。新たな研究で明らかに」というタイトルの記事を掲載した。記事の執筆者となる米カンザス大学のジアクン・ジャン(張嘉琨)助教授と米カリフォルニア大学アーバイン校のサマンサ・ワザムス助教授は、米国の追加関税が米中両国にとって何のカードにもなっていないようだとの見解を示した。記事の概要は以下の通り。
2018年から2020年にかけて中国の輸出品に対する米国の関税は5倍に増えたが、関税が両国の経済を切り離すことはなかった。バイデン政権が対中貿易政策を全面的に検証し、新たな関税の導入を検討する中で、我々の研究は現行の関税が政策目標を達成したかどうかを判断するに役立つだろう。
トランプ政権のロジックは、関税が米中貿易に関わる米国および多国籍企業の利益を損ない、それによって多くの企業が中国を離れ、サプライチェーンを米国に移すことになるというものだ。関税の支持者は、中国経済がダメージを受け、米国の通商代表が中国との交渉でより大きなカードを握ることになると考えていた。
実際にはこれらの関税が米国経済に副次的なダメージを与える一方、経済政策の変更を中国に迫ることはなかった。最近のレポートで我々は中国に登記される外資企業の新たなデータをまとめ、毎年撤退を選ぶ多国籍企業を確認した。調査期間中に中国から撤退する米国企業は増えたが、関税引き上げを理由とする撤退は1%にも満たなかった。米国企業は中国を離れたり、代替サプライヤーを探すことなく、顧客の支払い価格を引き上げた。調査データによると、米国の大手企業は依然として中国市場を楽観視しており、中国への投資を増やそうとしている。米中どちらにとっても関税がもたらしたカードはほとんどない。
中国政府と米国政府の間で政治的敵意が高まり、関税が生み出す経済コストが上昇し続けているにもかかわらず、中国と米国の企業は金融や知識産業、生産ネットワークにおいて深く融合している。外国からの対中投資は2020年に1443億7000万ドルを記録。米国の多国籍企業が中国とのデカップリングを受け入れた形跡はほとんど見られない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年10月7日