中国福建省南平市で初めて導入された「科学技術特派員」制度。貧困脱却の最前線に派遣され、長年にわたって技術支援などで農村振興を支える活動を行ってきた。近年、技術支援などのサービス提供から技術力を生かした起業へ、単独での活動からチームワークでの活動へと進化。同省では現在、こうした取り組みが農村全体に浸透するようになった。
農村振興は科学技術によって支えられている。科学技術特派員による活動は、農村振興の力となり、農村・農業の近代化にも貢献してきた。曲になぞらえると「田園」「創業」「振興」の「三部曲」といえよう。「田園」の部では、科学技術が農業発展の原動力になった。特派員制度は、地元独自の制度だったが、国の制度へと引き上げられ、整備・拡充が進み、農産物の品質向上や農業所得の増加につながった。
次は「創業」の部で、農業の発展が創業を後押した。特派員はサービス提供だけでなく、手本を示したり、指導したりした。特派員が起業する動きが多く見られるようになり、経済主体(企業)を設立したり、経済主体と実質的な技術協力を行ったりするプロジェクトには、成果に応じて一時金が支払われたりした。政策金融機関や商業銀行などの金融機関が信用貸付による支援を強化し、特派員向けの与信や小口融資を行った。特派員は、農民や合作社(協同組合)と利益共同体を結成、リスクと利益の両方を共有し、長期的なサービスを提供したことで、農村での起業ブームが起きた。
次は、チームワークによる「振興」の部で、特派員の派遣にあたっては、派遣先のニーズを正確に汲み取り、専門分野や地域を跨ぐ技術サービスチームの設立を模索するようになった。これまで、特派員単独では多岐にわたる分野をカバーできないという問題があったため、チームを組ませて、その割合を徐々に増やしていった。技術面での問題にチーム一丸となって取り組み、専門分野や地域をまたぐ全方位的な創業支援、技術支援を行った。大学や研究機関、企業などが法人特派員となり、率先して多岐にわたる専門を融合した技術チームの結成を働きかけ、各地の特色ある産業を中心に産業チェーン全体での起業や技術サービスを実施。チーム一丸となって取り組み、困難を乗り越えたことで、特派員チームの実力はさらに高まり、より大きな成果を上げるようになった。
この「三部曲」では、農村の振興と近代化というシンフォニーが奏でられている。科学技術の振興により、さまざまな事業が立ち上がった。美しい農村と農業の発展、農民の幸せは、科学技術特派員の努力によって支えられている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年10月24日