感謝祭やクリスマスなどの米国の年末の「ホリデーシーズン」が近づいているが、米国の消費者はニュースを見なくても米国のサプライチェーンに大問題が生じていることが分かる。
米誌「アトランティック」のデレク・トンプソン編集主任は、自らの買い物の経験を次のように語った。ティッシュ、新型コロナウイルスのセルフ検査キット、常用薬を購入するため複数のスーパーを回ったが、一部の棚は「タイフーン上陸前のスーパーの缶詰コーナーの棚」のようで驚かされたという。
米国のサプライチェーンにはなぜこれほど大きな問題が生じているのだろうか。
詰まりはどこにあるのだろうか。多くの専門家とメディアは西海岸・カリフォルニア州南部のロサンゼルス港とロングビーチ港に目を向けた。
この2港は距離が近く、毎年海運で運ばれるコンテナの4割以上が2港から米国に入る。しかし新華社衛星新聞実験室の衛星写真によると、港の外では1万トン級から10万トン級の大型貨物船が「長蛇の列」を作っており、貨物を満載した数万基のコンテナが港の外で立ち往生し、上陸できずにいる。
8月中旬の船舶の平均待機時間は6日前後だったが、混雑の悪化により現在は平均10−12日になっている。
なぜこれほど混雑しているのだろうか。その原因はやや複雑だ。
(一)コンテナの積み卸しの遅れ。米メディアが公開したデータによると、コンテナを吊り下げ移動する効率について、米国の港には大きな向上の余地が残されている。アジアの港の場合は1基のコンテナを吊り下げて移動するのにかかる時間は平均27秒だが、北米は76秒かかる。北東アジアの船舶の錨地における荷降ろしの時間は2時間だが、北米は24時間にのぼる。
(二)コンテナを降ろした後、置く場所がない。ロングビーチはかつて、コンテナの積み重ねを2基までとする規定を発表した。理由は街の景観だ。ところが今や大量のコンテナが殺到し、置き場が見つからない状況になっている。多くのコンテナが港内もしくは荷物置き場の外、路傍の車に置かれている。
ロサンゼルス港のGene Seroka港湾局長は、現在の倉庫保管に必要なスペースの不足は少なくとも25%にのぼっていると述べた。
保管スペースを増やすため、ロングビーチはコンテナ保管の規定の臨時緩和を緊急発表し、積み重ねを2基までから4−5基に緩和した。ロサンゼルスの当局者も、早急に州兵を派遣し貨物の輸送に協力するよう呼びかけている。
(三)大量のコンテナを運搬する人がいない。コンテナ輸送には、運転手とトラックのシャーシという2つの条件を満たす必要がある。しかし現在そのいずれも不足が深刻になっている。
ロサンゼルス港とロングビーチ港から貨物を輸送する運転手は2万5000人以上いるが、現在は滞貨が深刻なためまだ足りていない状況だ。全米トラック協会はこのほど、米国のトラック運転手の不足が現在深刻で、8万人にのぼると発表した。路上のトラックは米国の7割以上の貨物を輸送する。トラック運転手の不足は2030年までに16万人にのぼる可能性がある。
ロサンゼルス・ロングビーチ港エリアでは通常、約8万台のシャーシを提供できるが、今年3−8月にはその流動性が23%超低下した。
経済専門家は、米国の現在のサプライチェーンの「詰まり」はロサンゼルスとロングビーチ港で発生しているが、実際には米国の自由主義市場経済の長期的な問題を反映していると述べた。利益を最大限に増やすため、サプライチェーンのすべての企業がリーンマネジメントを求め、これによりリスクと市場の変動への対応力が低下し、アクシデントが生じると対応が困難になっている。
今回のサプライチェーンの「大崩壊」がいつまで続くかについて、米国の専門家の意見はまとまっていないが、2022年まで続くとの見方もある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年11月3日