東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定が1日、発効した。世界最大の自由貿易区が正式に出発した。シンガポール国立大学東アジア研究所の上席研究員である余虹氏は、人民網の独占取材に応じた際に、「保護貿易主義の台頭、経済グローバル化の試練を背景とし、RCEPの署名と実施は各方面の自由貿易及び多国間主義に対する支持を反映した。これは地域経済の一体化の加速を促し、地域と世界の経済発展の原動力を追加する」と述べた。
余氏は、「RCEPの正式な実施後、加盟国間の貿易コストが効果的に削減され、市場の壁が取り払われ、地域の貿易・投資の円滑化水準が上がる。これは加盟国による地域のサプライチェーンと産業チェーンへの深い参画に有利であり、アジア太平洋経済の統合を促す」と述べた。
RCEPは物品貿易、サービス貿易、投資、知的財産権、電子商取引(EC)などの多くの分野をカバーする。原産地規則は協定における重要な内容だ。RCEPは地域累積の原則を採用する。製品の原産地付加価値は15の加盟国で作られる地域内で累積され、RCEPのすべての加盟国からの付加価値が考慮される。余氏は、「これは製品が原産地資格を取得するためのハードルを引き下げた。協定の優遇税率の利用率を大幅に上げ、アジア太平洋地域のサプライチェーンと産業チェーンの強靭性を強化する。加盟国の企業は各国の比較優位に基づき、生産資源を柔軟に配置することで、製品の生産コストを削減できる」との見方を示した。
RCEPのEC関連の規則も見所だ。これにはペーパーレス化貿易の促進、電子認証と電子署名の普及、ECユーザーの個人情報の保護、オンライン消費者権益の保護など多くの内容が含まれる。各方面はさらに越境情報伝達や情報保存などの問題で重要な共通認識を形成した。余氏は、「これは地域内のECのさらなる発展を促し、デジタル経済発展の新たなチャンスをもたらす。また各国の消費者はインターネットを使いより割安な商品を購入しやすくなる」と判断した。
RCEP加盟国はいずれも中国の重要な経済・貿易パートナーであり、中国とRCEP加盟国の貿易額が貿易総額に占める割合は約3分の1だ。余氏は、「RCEP協定の実施は、中国とASEANなどの国の経済・貿易関係を促進する。これは中国が新型コロナウイルスなどの外部からの衝撃に対応する助けとなり、また中国が貿易・投資の市場多元化戦略を推進する上で有利だ。同時に中国の巨大な消費市場は、加盟国の企業の投資拡大と市場シェア向上に新たなビジネスチャンスをもたらす」と述べた。
RCEPの交渉と署名において、中国は積極的な力を発揮した。余氏は、「中国のRCEPに対する全力のサポートは、自由貿易を積極的に守るという中国の揺るぎなき約束を示した一方で、対外開放を持続的に拡大しより高品質な発展を実現するという中国の決意も示した。中国の開放の扉が閉ざされることはなく、ますます大きく開かれるばかりだ。これは中国のRCEPへの積極的な参加からも明らかだ」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年1月5日