「張北の風、北京の明かりを灯す」――北京冬季五輪では、中国河北省張家口市にある巨大風力発電基地から競技会場へ電力が供給された。3つの競技エリアにある26会場にもグリーン電力が供給されたほか、デジタル化・スマート化された電力パノラマ監視により、エネルギー供給の安定性や安全性も確保された。デジタル経済が活況を呈する中、エネルギーのデジタル化は人々の生産活動や暮らしにも静かに浸透しつつある。
エネルギー企業はなぜ、デジタル化の推進に全力で取り組むのだろうか。それは、エネルギーのデジタル化が人々を過酷な肉体労働から解放するだけでなく、企業にとっても多くのメリットがあるからだ。例えば、勝利油田の海洋生産プラットフォーム「青東5」では、採油ポンプの振動数設定や注水バルブの圧力調整などを自動的に行い、環境にやさしく安全かつ効率的な生産を実現している。低炭素化目標の下、エネルギー分野におけるデジタル化やスマート化への転換が担う役割は一段と重要性を増している。
デジタル技術は、エネルギー産業のコスト削減や効率化にも貢献する。中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は、山東省のガス会社、山東済華燃気による光センシング装置やアルゴリズムに基づくスマート・パイプライン巡回検査サービスの構築を支援。これにより、パイプラインに脅威を及ぼす事象を97%の精度で特定することができるようになったほか、パイプラインの安全性や管理の質全体の向上、運用・保守コストの削減、石油・ガス産業のデジタルトランスフォーメーションの加速につなげた。
中国工業・情報化部傘下のシンクタンク、中国電子信息産業発展研究院(賽迪研究院)の劉文強副院長は「デジタル技術は、エネルギー革命戦略において重要な役割を担っており、エネルギー産業の変革をけん引する原動力となっている。クラウド・コンピューティング、モバイル・ネットワーク、ビッグデータ、ブロックチェーン、第5世代移動通信システム(5G)などの技術と融合発展により、エネルギーの生産、運用、伝送方式を変え、デジタルエンパワーメントを通じて、経営効率や生産効率を向上させ、環境配慮型・低炭素型への転換を促進することができる」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年3月26日