多くの自動車メーカーと電気自動車(EV)用バッテリーメーカーがこの数カ月に渡り、米国工場の建設の意向を示している。全世界の製造業者がEV用バッテリー技術に巨額の研究開発費を投じている。それと同時に米国のリチウムや黒鉛などの原材料の国内供給を支え、国内のバッテリー製造業を盛り上げ海外のサプライチェーンへの依存度を下げるべく、バイデン米大統領は冷戦時代の「国防生産法」を持ち出している。米ブルームバーグが伝えた。
これは期待できそうだが、それほど大きな進展は見られないだろう。バッテリーはすべてのEV戦略の中核であるが、米国はこの「中核」の生産能力の拡大と優先的考慮の面ですでに大きく遅れている。まず、工場がすぐに完成し稼働開始することはなく、そのため直ちにバッテリーを量産化できない。米国では資本もこの業界に集中していない。バイデン氏は中国式のトップダウンの産業政策を開始したが、中国がこのバッテリーの競争におけるリードを保つ可能性も高い。
これは米国のまずいタイミングと計画のせいだ。EVをめぐる大々的な宣伝がすでに長く続いており、需要と消費者の意欲を盛り上げている。ところが米国は昨年6月になりようやくバッテリーサプライチェーンの拡張計画を発表し、「投資を促す」とした。さらにまずいことに、米国の自動車メーカーはすべてを顧みずエコカーに巨額の資金を投じ排出監督管理目標の約束を果たそうとするなか、韓国のバッテリー提携先に圧力をかけ関連技術を入手しようとしている。これはバッテリーの開発と生産拡大が進んでいないことを意味する。
その一方で中国は、全世界の大多数のEV向けにバッテリーを生産する方向に邁進し続けている。中国はすでに世界のバッテリー生産能力の6割を占めている。コロナ禍でサプライチェーンの遅延などの問題が生じたが、中国は日増しに拡大する需給の不足を補い続けている。テスラが大量のEVを生産し世界各地に輸出し、さらに欧州でギガファクトリーを建設できるのは、同社が大規模バッテリー製造業を持つ中国と協力パートナーシップを結んでいるからだ。蓄エネ設備を獲得するため、世界のその他の自動車メーカーも中国の部品及び原材料サプライヤーに転向している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年4月8日