米国の両党議員の間で先ごろ「米国競争法案」をめぐり白熱した議論が繰り広げられた。この法案は名目上、米国の中核技術や産業などの分野における競争力強化を目的としているが、実際の考え方は「内なる力を培い」自ら修行を積んで向上するのではなく、国際協力の破壊と引き換えに、中国などの競争相手をあらゆる面から包囲し抑え込むことを狙いとしている。
同法案は当初、超党派の上院議員が共同で提出し、2021年6月に米上院で可決。法案はその後下院に送られ、下院が修正して2022年1月に独自版を提出、上院で再び採決が行われた。これを繰り返しているうちに、法案は幾つかバージョンが変わったが、どの版でも中国封じ込めの基調は変わっていない。世界の技術協力における中国の重要性を考慮すると、米国のいじめ行為は中米関係を傷つけるだけでなく、世界の科学技術の進歩を遅らせ、素晴らしい生活を追い求める全人類の未来図を損なうことになる。
米国政府が中米間の技術協力や文化交流を誹謗中傷し断ち切ることは、米国の科学研究イノベーションの進展を遅らせ、ひいては世界の技術進歩の勢いを弱めることになる。米国は2021年に「エンドレスフロンティア法」を可決し、外国の人材採用プロジェクトに参加する科学者が連邦政府から資金提供を受けることを禁止した。これと同時に、米国の法執行機関が「中国の研究機関との関係を故意に隠した」中国系科学者を躍起になって逮捕・処罰したことで、米国の学術界では急速に警戒感が高まった。現在準備中の「米国競争法案」は前述の法案と中味は同じで、依然として輸出規制・交流制限・知的財産権協力停止などの措置を通じて「脱中国化」を推進しようとしており、すでに揺らいでいる中米学術界の協力環境をさらに損なうことになるだろう。これは米国の政治家が望んでいることではあるが、米国民ひいては世界の公共の利益には合致しない。
学界の識者が指摘するように、米国が世界一の技術大国に発展できたのは、世界で最も優れた開放的なイノベーションと技術産業環境が世界の人材を米国に呼び寄せたからであり、政治家の「思いつき」によるものではない。気象学・環境保護・新エネルギー分野における中国と米国の実りある科学協力は、各国の人材交流と相互作用が科学技術の進歩を大きく後押しできることを証明した。中国と米国が科学研究の分野で協力を続けることは、それぞれの国だけでなく世界の技術進歩と発展を必ずや促進することだろう。しかし日増しに分裂し、反中が両党の合意形成可能な数少ないテーマとなっている米国政界において、このような理性的な声が米国の政策決定者にどの程度響くのか、大きな疑問符がつくところではある。
この世界は、各国の全ての人々の世界である。国際的な問題については、すべての国が協力するのが当然だ。中米両国は、世界の二大経済大国・国連の創設メンバー・安全保障理事会の常任理事国として、共に建設的な役割を果たすべきだ。独ミュンヘン安全保障会議事務局のイシンガー議長も、「世界のいかなる主要議題においても、中国は極めて重要な役割を演じており、中国の参与なしには、世界の多くの危機を解決することはできない」と表明した。しかし、ややもすれば「ルール」や「秩序」を口癖のように言う米国の政治家は、国際ルールや秩序を何度も破壊し、国際法の代わりに国内法を適用したり、思いつきで他国を制裁したり、閉鎖的で排他的な小さなグループを作ってきた。事実、覇権的地位を濫用し、巧みに偽装したエゴイズムを実践することしかできない米国は、他国を輪から締め出すことはできず、自ら世界との関係を絶つしかないのだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年5月31日