中国国家統計局がこのほど発表した最新統計によると、5月の全国の一定規模（年間売上高2千万元）以上の工業企業の付加価値額は前年同月比0.7％増と、前月の2.9％減から増加に転じた。企業活動の再開や物流の円滑化が進み、工業生産が着実に回復していることがうかがえる。

　中国工業・情報化部（工信部）の辛国斌副部長は「通年の経済発展にとって重要な時期に当たる今、新型コロナウイルス感染症の予防・抑制と工業生産は効率的に協調されるべきであり、5月以降の鉱工業生産の回復を固めながら、マクロ経済の基盤の安定化に一層寄与していく必要がある」と語った。

　「4月以来、感染者が散発的に発生したことで、中国の産業チェーンやサプライチェーンの安定運用に大いに支障を来し、工業経済は深刻な影響を受けた。党中央委員会と国務院はマクロ経済の基盤安定化に向け、コストの削減や主体の安定化、供給の円滑化などの措置を速やかに講じた」

　工信部傘下のシンクタンク、中国電子信息産業発展研究院（CCID、賽迪研究院）の関兵所長はこう述べ、5月は感染拡大状況の改善と政策効果の継続的な波及によって、各地の工業生産が着実に回復したとの見方を示した。国家情報センター予測部産業経済研究室の魏琪嘉主任も同様に、これまでの一連の政策が引き続き奏功し、景気回復を強力に後押ししたとしている。

　供給サイドについては、5月の生産高指数は49.7と、4月の44.4から上昇し、生産状況の大幅な改善が見られた。サプライチェーンの運用も大幅に改善し、5月のサプライヤー納期指数は44.1と、4月の37から上昇した。原材料費の低下と企業在庫の減少が鮮明で、5月の完成品在庫指数と主要原材料の購買価格指数はそれぞれ49.3、55.8と、4月の50.3、64.2から低下した。

　需要サイドについても、製造業の需要が回復し、5月の新規受注指数は48.2と、4月の42.6から上昇した。製造業の輸出も若干持ち直しており、5月の新規受注指数は46.2と、4月の41.6から上昇したほか、5月の産業用輸出の出荷額も前年同月比11.1％増と、伸び率が前月を13ポイント上回った。

　「中国網日本語版（チャイナネット）」2022年7月2日