文章:Oliver Eschke
7月初めに発表された多項目の経済データによると、中国経済は粘り強さを見せ、下半期の中国経済は引き続き回復する見通し。
長春などの都市の段階的な生産停止や上海港の作業の制限により、新型コロナ流行はサプライチェーンに悪影響を与えた。しかし、物流が円滑になり、操業再開プランが打ち出され、経済への影響は削減されている。5月、中国の多くの地域の感染拡大が収まり、生産が徐々に再開された。
先日発表された第2四半期の経済データによると、新型コロナ流行によるダメージに対応し、中国経済は柔軟性と粘り強さを見せた。
今年5月の全国一定規模以上工業企業(メイン業務の年間収入2000万元以上)の営業収入は前年同期比6.8%増加し、利益減少幅は前月より縮小した。1~5月は前年同期比でやや増加した。6月末時点で、上汽集団の1日あたりの上海生産台数は1万3000台に達し、コロナ前の水準に回復した。米自動車大手のテスラは、上海メガファクトリーは6月に生産能力利用率が100%に回復したと発表した。
製造業購買担当者景気指数(PMI)は国の経済活動を観測・予測する重要なバロメーターである。6月の中国のPMIは50.2%で、2月以来初めての上昇となった。中国人民銀行が発表した2022年第2四半期の企業家アンケート調査報告によると、利益指数は51.2%だった。第1四半期は50%を下回っていた。企業家アンケート調査は全国範囲の5000社以上の工業企業を対象としている。
今後も試練はあるが中国は克服できる
民間航空業は新型コロナによるダメージが比較的大きい業種だが、6月に回復の兆しが見られた。中国民航局によると、6月初めの1日あたり運航本数は6500便前後だったが、6月24日から26日まで、全国の民間航空の1日あたり運航本数は3日連続で1万便を超えた。これは中国経済の回復の縮図と言える。
回復を実現した1つの理由として、中央政府と地方政府が的確な経済支援策を打ち出したことが挙げられる。例を挙げると、5月末、国務院は経済安定のための一連の政策措置を打ち出した。インフラ投資の推進、一般特恵小規模融資支援の強化、減税、自動車・家電などの多口消費の増加など33項目の政策を含む。国務院税務総局のデータによると、今年の税金還付・減税額および税金延納額は2兆5800億元に達し、中小・零細企業が主に受益した。
中国政府は、経済成長を促進するには国内消費を押し上げる必要があることを深く知っている。EC産業とプラットフォームエコノミーは消費回復の促進に重要な役割を発揮する。そのため、ECサイトの優遇を促し、消費を刺激する必要がある。
地政学的観点で見ると、世界的なインフレ、ロシアとウクライナの衝突、新型コロナウイルス流行による影響などがあり、今年下半期も試練に直面すると見られる。しかし、7月初めに発表されたデータを見る限り、中国経済には十分な粘り強さがあり、問題解決策は見つかるだろう。
2022年5月、ドイツの消費者物価指数(CPI)は前年同期比7.9%上昇、EU圏は同8.1%上昇し、米国は8.6%上昇し数十年来の最大を記録した(欧州中央銀行のインフレ目標は2%)。一方、中国のインフレ率は低水準を推移し、CPIは前年同期比でわずか2.1%の上昇だった。専門家は、これは中国が安定した金融政策をとったためだと見ている。西側と異なり、中国は大量に紙幣を発行せず、高インフレでもなく、複数の措置で経済回復を推し進めた。中国には経済を安定させる十分な政策余地と手段がある。
そのため、国家発展改革委員会は先日の記者会見で、「経済運行における困難と試練を克服し、安定した持続可能な発展を維持できる自信を持っている」と楽観的予想を発表した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年7月19日