仕事を見つけやすい場所と住居コストの空間的なアンバランスにより、家から遠く離れた職場に通勤するというのが、大都市の若者の間でよく見られる生活様式となっている。7月29日に発表された「2022年中国主要都市通勤モニタリング報告」は、通勤時間が60分以上となる場合、勤務先が遠い「極端通勤」と見なし、1400万人以上がその状態にあり、うち若者が全体の40%以上を占める600万人近くとなっていることがわかった。また、32都市で「極端通勤」の割合が高まっている。
同報告は、5キロ以内の通勤が最も楽な「幸福な通勤」と見なし、その割合が、都市において自宅近くで働く人の数を反映しているとしている。昨年の都市モニタリングによると、「幸福な通勤」ができている人は51%にとどまり、41都市の「通勤幸福度」が低下していた。一方、「極端通勤」は、職場と住居とがかなり離れて分離されていることを反映している。前年度との比較が可能な42都市のうち、7割以上で「極端通勤」の割合が高まっており、最高は北京で、初めて30%に達した。
中国で最も長い「通勤の道のり」を毎日経験しているのは、北京の会社員たちだ。
同報告によると、2021年、北京・上海・広州・深センの平均通勤距離は9.4キロで、前年比0.4キロ伸びた。うち、北京の平均通勤距離は11.3キロと、前年比で0.2キロ伸び、中国全土で最も長い。
通勤距離が最も長いということは、都市空間の影響波及範囲が広いことのほか、北京の職住分離が著しく、交通機関を利用した通勤効率も低いなどの要素とも関係がある。
同報告によると、2021年、北京の通勤空間の半径は41キロと最大だった。超大都市である北京・上海・広州・深センの平均値より3キロ長く、職住分離が最も著しくなっている。2021年、北京の職住分離度は6.6キロで、深センの3倍近くだった。また、超大都市の平均職住分離度である4.2キロを大きく上回っていた。
「職住分離度」とは、居住地から最も近い職場の距離で、理論上実現できる最短通勤距離のことだ。都市の職住区間供給のバランスを反映している。
一つの都市内で約7キロ離れた職場に通勤している場合、一部の都市またぎの通勤距離に匹敵することになる。
複数の要素が重なり、2021年、北京の通勤者の30%が片道60分以上かけて通勤しており、「極端通勤」人口の割合が前年比で3%上昇した。絶対値、増加幅、増加ペースなど、どれを取っても北京の「極端通勤」の程度は中国全土でトップとなっている。
「北京市2021年国民経済・社会発展統計公報」によると、2021年末の時点で、北京市の常住人口は2188万6000人だった。
それを基に計算すると、同年、北京の「極端通勤」人口は66万人増加し、計600万人を超えたことになる。 (編集KN)
「人民網日本語版」2022年8月3日