ユーロスタットが発表した最新データによると、8月のユーロ圏物価上昇率は年率換算で9.1%にのぼり、市場の予想を上回り記録を再更新した。ユーロ圏19カ国のうち9カ国の物価上昇率が年率換算で2桁台になっており、うちバルト三国は20%を超えている。
冬の欧州天然ガス備蓄水準への懸念ムード、米国からの液化天然ガス輸入コストの激増もまた、欧州の天然ガス価格を引き上げている。ユーロ圏の物価上昇率が2桁台にのぼる可能性が出ている。
この影響を受け、ユーロ圏の実質賃金が大幅に減少している。人々の購買力が低下し、世帯消費がコロナ前の水準を大きく下回り、小売の販売額に減少傾向が見られる。消費者マインドが過去最低まで落ち込んでいる。同時にコスト激増は生産面にも波及し、工業の産出が減少し、欧州経済により多くの悪影響が及んでいる。
独紙「南ドイツ新聞」は社説の中で、欧州中央銀行はすでに米連邦準備制度理事会により、利上げのペースに乗せられているとした。米ドルに対するユーロ安により、欧州はより苦しい立場になっている。欧州の米国からの輸入額が膨らみ、エネルギーなどのドル建ての原料及び半製品の価格が上がっている。欧州の原料のコストが拡大し、物価上昇率がさらに上がっている。ユーロ圏はすでにインフレの苦境に陥っており、さらに他国から転嫁されたインフレの圧力を受けなければならない。欧州中央銀行は大幅な利上げによるインフレへの対応を余儀なくされており、自身の景気後退のリスクが激増している。
アナリストは、「ロシアのエネルギー供給に強く依存するEUの対露制裁は大きな負の効果を生んでいる。欧州はエネルギー供給の苦境に陥り、欧州の天然ガス及び電力価格が続騰している」と見ている。
その一方で、米国市場の天然ガス基準価格は欧州の価格を大きく下回る。今や米国の多くの貿易会社は液化天然ガスを持続的に欧州に販売し、巨額の利益を手にしている。
ドイツ連邦議会の議員は、対露制裁の効果を疑問視している。「西側の制裁により、ドイツの天然ガスが不足し電力の危機が生じているが、なんらメリットをもたらしていない。これはドイツの多くのビジネス関係者の共通認識だ」
オーストリア議会議員、自由党リーダーのヘルベルト・キクル氏は、「制裁する側の傷の方が大きければ制裁に意義はない。現在のEUの対露制裁がそうだ」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年9月6日