半導体OEM企業の華虹半導体はその本社所在地の上海市で、中国のリーディングカンパニーである中芯国際の裏方に徹してきた。しかし米国の先進技術の規制、中国政府の半導体国産化への渇望により、今やスポットライトを浴びている。英紙「フィナンシャル・タイムズ」が伝えた。
この中国2位の半導体OEM企業はすでに香港で上場しており、上海証券取引所の科創板への上場申請も先月受理された。調達した大半の資金をその生産設備のアップグレードと拡大に用いる。
華虹に最先端の技術がないことは、今になって見ればむしろ有利だったことが分かる。同社は11月の第3四半期業績報告テレビ会議において、米国の行動による影響をほとんど受けていないと表明した。同社が生産する半導体が、最新のマイクロプロセッサより何世代も古いからだ。業界専門家によると、米国の高性能半導体の開発への規制後、中国は国内の半導体サプライチェーンの見直しを迫られた。華虹の古い世代の半導体への注目により、中国政府の新たな寵児になり、政策のサポートと資金を獲得する可能性がある。
米国は10月に一連の全面的な規制措置を発表した。米国企業を対象に16/14nm世代プロセス以下の半導体の技術の輸出を禁止した。これにより中芯国際は競争相手を追い越すことがより困難になった。その一方で華虹は異なるプランを採用し、その成熟した製造プロセスを十分に利用し、製品の性能と信頼性を最大化させた。これらはIoT、5G通信機器、電気自動車の市場で広く導入されている。
コペンハーゲン・ビジネススクールの中国半導体業界専門家であるダグラス・フラー氏は、「つまり成熟したプロセスを十分に利用しようと取り組んでいる。すべての補助の社会への還元を考慮するならば、これは持続可能な道だ」と述べた。
生産ラインの提供と規制を受けうる外国産設備の代替により、華虹の古いプロセスはそれほど先進的ではない中国半導体装置メーカーのテストと製品改良にチャンスを提供した。消息筋(3人)によると、同社はさらに設備や材料などのサプライヤー現地化に取り組んでいる。また同社は国内の取引先を優先的に考慮している。
中国各地の半導体メーカーと協力する政府顧問によると、華虹はかつて産業政策制定者から、研究開発にあまり積極的ではないと過小評価されていた。
国内市場の旺盛な需要の後押しを受け、華虹は第3四半期業績で同業者を大きく引き離した。四半期の売上が前年同期比40%増の6億3000万ドルにのぼり、純利益は前年同期比で倍増し1億400万ドルにのぼった。同顧問は、「華虹は中国国内の半導体サプライチェーンの成長を促す大きな力になる」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年12月27日