米SVB経営破綻 その教訓とは

中国網日本語版  |  2023-03-13

米SVB経営破綻 その教訓とは。

タグ:SVB 経営破綻

発信時間:2023-03-13 16:32:47 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 米シリコンバレー銀行(SVB)破綻により市場の不安が高まっている。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを継続し、ドル建て債券の含み損も拡大しているなか、2008年のリーマンショックのような世界規模の金融危機の再来が多くの投資家から懸念されている。SVB経営破綻による世界のスタートアップ企業、米国金融市場及び米国経済への影響が注目されている。「環球時報」が伝えた。

 まず、ダメージがもっとも大きいのは世界中のスタートアップ企業である。SVBは主に中小IT関連企業への融資を手がけてきた。ここ40年、ウォール街とシリコンバレーは米国経済を支えてきた2本の柱として、相互発展を促進してきた。「ハイリスク・ハイリターン」を求めるウォール街は潤沢な資金をシリコンバレーのIT企業に注ぎ、成長したIT企業はウォール街に利益をもたらした。総資産2000億ドルのSVBの経営破綻は、多くの中小IT企業の流動性の枯渇を招き、業績不振で大規模な人員削減に踏み切ったシリコンバレーにとって追い打ちとなった。

 次に、米国の銀行の株価はさらに下落し、時価総額の蒸発が再度起こる。FRBがここ1年間で急激な利上げを繰り返し、保有していた債券に含み損が出たことがSVB破綻のもっとも直接的な原因である。米国の各大手銀行及びファンドもこうしたドル建て債券投資を手がけており、SVBのような取り付け騒ぎが発生すれば、経営破綻する銀行は増える。規模が大きく、準備金も十分な大手銀行でも、2022会計年度の利益は大幅に縮小し、株価の下落は避けられない。

 SVBが電撃破綻し、連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置かれたことをうけ、多くの投資家が次の問題を考えるだろう。主にシリコンバレーのIT企業への融資を行ってきたSVBが、リスクを冒してまで巨大規模の低金利債券を保有するのなぜか。銀行の融資を受けて成長してきたシリコンバレーが、銀行まで破綻に追い込んだのはなぜか。IT企業の発展と金融リスク回避のバランス取りが、今回の一件でもっとも考えるべき問題点である。

 米国シリコンバレーの「伝説」とは、半導体とインターネット産業がここ40年、時代を超えた革命的な新技術を絶えず世に出し、莫大な富を創出する新たなビジネスモードと事業を育み、米西海岸に林立する多国籍巨大IT企業を育て上げたこと。言い換えれば、シリコンバレーへの投資のハイリターンは、革命的な新技術・新たなビジネスモードによる新たな価値創出に根付いたものであり、ウォール街とシリコンバレーはもともと運命をともにしていた。

 ところが、リーマンショックから十数年が経ち、シリコンバレーがウォール街に提供できる新技術や新モードは絶えず減少し、ここ3年間で喧伝されたメタバース・仮想通貨なども市場の試練に耐えることができなかった。価値あるスタートアップ企業が少ないため、2022年に米国の株式市場のIPO規模は史上最小となった。特にウクライナ危機において、米国はロシアを制裁・封鎖する道具として金融を利用し、仮想通貨の分野でもロシア制裁を行い、「中心がない、国家主権を超える」とうたう仮想通貨の最後の砦が打ち破れた。関連企業の破綻や投資家の損失が、SVB破綻を招いた最も根本的な原因だが、これはまさに米政府、シリコンバレーやウォール街が公の場でもっとも言及したくない原因の一つである。

 アップルやマイクロソフトなどの巨大企業であっても、巨額の現金を手にして理想的な投資先を見つけられず、自社株を購入するしかなかった。米国のIT分野の市場総額の拡大は、同世代技術の応用の拡大に留まり、特に中国の需要に依存している。「シリコンバレーのアイロンマン」と呼ばれるマスク氏でさえ、時代を超える技術をもって何一つも業界を覆したことがない。中国市場がなければ、テスラの時価総額は決して今の水準に達していない。こうした背景のもと、SVBは破綻してもおかしくはない。IT企業への融資のリターンが低くなるため、生き延びるために得意分野でない債券への投資を余儀なくされたためである。

 技術の世代交代がないため、シリコンバレーとウォール街は応用シーンの拡大を求めた。つまり、中国市場を積極的に開拓し、中国のIT企業の米国上場を促し、ウィン・ウィンの中国概念株がここ十数年シリコンバレーとウォール街をある程度支えてきた。しかし、米国の政治家は経済問題を価値観化し、トランプ時代の「米国優先」や対中貿易戦、バイデン政権の中米貿易・中国概念株に対する妨げなどにより、中米の金融協力は絶えず縮小し、ウォール街も利益低下により大規模なリストラに踏み切った。米国の景気後退が進み、米国の政治家は再び自身の政策のせいで自国の利益を損なった。

 中国にとって、SVB破綻の衝撃は間接的なものであり、シリコンバレーの「IT+金融」の「伝説」の破綻もすべて悪いこととは限らない。一方で、さらに多くの中国の金融機関がシリコンバレーの合理的なモードを学び、IT分野のさまざまな分枝を研究し、IT企業のために資金や人材を確保し、各レベルの資本市場に投資先を提供することを奨励すべきである。もう一方で、金融機関の上層部は債券投資のリスクを十分に意識し、マクロ経済周期を理解し判断する能力を向上させなければならない。(筆者 許維鴻 甬興証券副総裁)

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年3月13日


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