ドイツ銀行のアジアマクロストラテジー部門トップ、マリカ・サクデバ氏が率いるチームはこのほど発表したリポートで、中国経済の回復加速がアジア、特に東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の経済成長に弾みをつけるとの見通しを示した。
多くの先進国が景気後退に陥る中、中国の経済回復はアジアの経済成長を力強く助けると指摘。中国の輸出は引き続き一定程度の圧力に直面するとはいえ、経済回復を支える2大柱のサービス消費と不動産消費は好調に推移するとの見方を示した。
中国の不動産価格は18カ月ぶりに上昇に転じ、住宅販売と不動産投資は市場予想を上回った。自動車と携帯電話の販売量は落ち込んだものの、今年2月には状況にやや改善が見られた。中国経済は加速度的な成長期を迎え、通年の経済成長率は2023年が6・0%、24年が6・3%に達する可能性があるとし、消費が23年の中国経済の最大の原動力になるとの見通しを示した。
中国では社債とエクイティファイナンスによる資金調達の回復が進み、人民元建て信用貸付や人民元建て株式(A株)、H株(本土企業の香港上場株)市場が中国に拠点を置く企業の主な資金調達手段になると予測した。
リポートによると、中国はASEAN加盟国の多くと通貨スワップ協定を締結しており、貿易取引の自国通貨による決済を共同で促進する上、人民元とASEAN加盟国通貨間の直接的な為替取引の比率を高め、コスト削減とリスク管理に役立てている。
米国経済の低迷が引き続きアジアの対米輸出の足かせとなるおそれがある一方で、中国の輸出は今年、活発になる可能性がある。アジアの多くの国は輸出の実績が予想を下回り、電子製品が最も大きな影響を受けた。今年1月のアジアの対主要地域向け輸出はいずれも減少し、需要サイドでみると、減少幅は米国と北アジアが最も大きく、欧州連合(EU)は比較的小さかった。
アジアの輸出に対する中国の寄与率は大きく高まり、23年に6・0%、24年に6・3%それぞれ上昇する見通し。こうしたポジティブな影響は、特に経済面での関連性が米国より中国の方が大きい国・地域にとってプラスに働くとみられる。
新華網日本語版 2023年5月13日