英紙ガーディアン電子版は8日、「北京は将来の制裁から身を守るため、如何にして通貨を活用すべきか」と題する次の記事を掲載した。
北京(中国政府)は10年以上にわたって米ドルへの依存度を下げようと腐心してきたが、その動機は、米国経済に生じるリスク(2008年の金融危機など)から身を守ることや自国の影響力を拡大することにあった。
昨年以来、中国経済をドルベースの制裁から身を守るための取り組みが、中国をドルから「デカップリング(切り離し)」させる最も重要な原動力となっている可能性がある。
ロシア・ウクライナ衝突の勃発以降、ロシアに経済的な打撃を与える最も強力な手段の一つは、同国をドルとの取引から完全に締め出し、それによって他国と貿易を行う能力を制限することであった。
西側の制裁はクレムリン(ロシア政府)を懲らしめることになったが、それ以外に中国人民元という想定外の勝者をもたらすことにもなった。昨年、ロシアの輸入決済に占める人民元の割合は前年の4%から23%へと急上昇した。今年2月には人民元が初めて米ドルを抜いて、モスクワ取引所で最も取引量の多い通貨となった。
中国による人民元の国際化を推進する取り組みは、ロシア・ウクライナ衝突よりもずっと前から始まっていた。世界における人民元の利用状況では依然として米ドルに大きく遅れをとっているものの、国際決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、2021年3月から今年3月にかけて、人民元の貿易金融市場(世界貿易全体の80%を支える数兆ドル規模の世界貿易金融エコシステム)におけるシェアが2倍以上に拡大した。
中国はさらに、他国にも国際取引で人民元を使用するよう呼び掛けている。アルゼンチンとブラジルは最近、中国からの輸入品をドル建て決済ではなく人民元建て決済に切り替えることで中国側と合意した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年5月20日