中米間の地政学的挑戦及び製造メーカーと消費者に影響を及ぼすサプライチェーンの問題が現在、世界の製造業が中国から撤退するという多くの議論を呼んでいる。ところが米中貿易額は昨年、記録的な水準に達し、近い将来も低迷の兆しはまったく見られない。各社は多くの生産を中国から移転していない。これはなぜか。豪ウェブサイトがこのほど、伝えた。
ヨゼフ・エッガー氏は消費財を生産するグローバル調達会社の重役で、製造業の運営方式について説明した。中国の製造業は高水準の経済集積、もしくはエコシステムを持っている。パーカーの生産を例とすると、これにはさらに飾り、染料、ファスナー、紐、その他の付帯品が必要だ。中国の戦略は製造業サプライチェーンを現地で確保し、フローの各部分を把握できる。
中国はさらに世界の大半の羊毛と綿花を輸入・加工している(米国産の綿花を含む)。これらの綿花は加工により織物になり、染色し縫い合わせることで衣料品やその他の製品になり、米国を含む世界に輸出される。紡績品生産全体のエコシステムのすべてが中国にある。織物だけでなく、その他のほぼすべての商品もそうだ。
米国もしくはカナダの小売業者が販売する紡績品の生産を中国から移転しようとすれば、エコシステム全体も移転せざるを得ない。中国から撤退するコストが非常に高いことは事実によって証明されている。製造業のエコシステムが中国に残れば、世界の製造業における高いシェアも維持される。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年7月9日