米国の製造業国内回帰、「横取り」された理由とは?

中国網日本語版  |  2023-08-02

米国の製造業国内回帰、「横取り」された理由とは?。

タグ:製造業 実体経済 消費者 産業チェーン 回帰

発信時間:2023-08-02 14:56:05 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 米政府は近年、製造業の国内回帰と、自国の実体経済の競争力の強化を促す際に、より強硬で多元的で直接的な動きを見せている。しかしながら海外メディアの報道によると、米国側のこれらのやり方は予想されていた効果を手にしていない、もしくは製造業のさらなる国内回帰を促していない。多くの企業はより高い関税を支払うことになろうとも、依然として人件費の安いメキシコで生産活動を維持している。つまり米国の製造業の国内回帰が「横取り」された。

 地域的なメリット、基礎的条件、既存の産業・貿易関係を見ると、1億3000万人の人口を持ち労働力が豊かなメキシコは、米国の製造業国内回帰、特に「ニアショア開発」の発展において避けられない最重要協力パートナーだ。メキシコはG20の重要メンバーであり、1994年1月に設立された北米自由貿易協定(NAFTA)及び2020年7月に発効した米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の重要メンバーだ。今年1−4月のデータによると、メキシコは米国にとって最大の輸入先となっている。

 メキシコは近年、ソフトウェアアウトソーシングの受け入れ、自動車及び消費者用電子機器、サプライチェーン管理、インフラ整備などの面で急速に発展し、世界の貿易構造及びサプライチェーン中枢の再構築を試みる米国が重視する「価値の窪地」になった。しかしその一方で、世界のサプライチェーン構造の変遷に対応する中国の重要な協力パートナーであるメキシコは、中国企業の世界的な産業構成調整の対象国の一つでもある。メキシコの電気自動車(EV)分野におけるほぼすべての製造業及び関連産業に中国企業が投資している。中国とメキシコの毎年1100億ドルの貿易額は、二国間投資・貿易が高水準を保っていることを十分に示している。

 当然ながら世界の産業発展と構造の変遷には独自の法則がある。先進国の製造業国内回帰及び現在生じているサプライチェーン再構築はさらに非常に複雑なプロセスだ。米国は製造業国内回帰の機は熟していると称しており、2022年の製造業関連の建築支出は驚異の1080億ドルにのぼった。ところが長期的な発展の流れを見ると、特に米国の製造業国内回帰がメキシコに「横取り」され、中国とメキシコを含む切っても切れない複雑な経済・貿易関係を見ると、米政府がイデオロギーの偏見と地政学的な目論見が混ざる製造業国内回帰の目標を達成し、現在の1200万人超の雇用規模を80年代の1700万人超のピークに戻すのは不可能だ。米国の製造業国内回帰の先行きに期待する米コンサルティング会社のカーニーでさえ、先ほど発表した米国製造業国内回帰指数報告書の中で「回帰はすでに顕在化しているが、道は険しく長い」とため息を漏らしたほどだ。

(筆者=章玉貴・上海外国語大学国際金融貿易学院教授、博士課程指導教員)

「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年8月2日

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