昨年は米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利上げを維持すると、米国の物価上昇率がやや低下し、経済が一定の回復の流れを示した。ところがCPIのコア指数が依然としてFRBの目標を大幅に上回り、高金利政策のヒステリシス効果が徐々に顕在化し、連邦債務が持続的に拡大するといった挑戦と不確実性があり、米国経済は景気後退のリスクから脱却していない。ソフトランディングを実現できるかは、今後の経過を見守る必要がある。
米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」はこのほど、「米国の物価上昇率の低下は予想以上だが、消費者がすでに支出を控え始めていることに注意が必要だ。増え続けてきた消費支出は原動力を失いつつあるかもしれない」と伝えた。
高金利は米国の消費と投資の大きな壁だ。例えばFRBが利上げを続けたことで借入コストが急増し、米国のクレジットカード残高が昨年第3四半期に初めて1兆ドルを突破した。クレジットカードの支払いができずに延滞した割合は第1四半期の6.5%から第3四半期の8%に上がり、十数年ぶりの高い水準となった。
米誌「ナショナル・インタレスト」(電子版)はこのほど、「利上げにより新規債券発行のペースが大幅に落ち、企業の収益を圧迫し、雇用を減らし破産を起こしている」と伝えた。S&Pグローバルは、企業のデフォルト率が上がっており、米国の今年6月の数値は4.5%にのぼると予想した。
また米財務省のデータによると、9月30日までの2023年度の連邦政府の財政赤字は1兆7000億ドル弱で、前年度より23%増加した。これにより米国の債務がさらに膨らんだ。連邦債務は現在34兆ドルにのぼっている。
ダラス連邦準備銀行元総裁のリチャード・フィッシャー氏は、「米政府が借金を続ければ、債券市場の供給過剰により最終的に国債利回りが上がる。これは債務拡大と金利のコスト拡大の悪循環を引き起こす。政府は支出をさらに増やすことで債務を返済するべきだ」と述べた。
独紙「ハンデルスブラット」はこのほど、「米国の景気後退のリスクを否定できない。貧富の格差が広がり、債務危機により米国経済への懸念が深まっている。JPモルガンのアナリストのKaren Ward氏は、米国の景気後退のリスクは遅れたが、小さくなっていないと述べた」と伝えた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年1月4日