玩具メーカーは中国の生産コストの高騰に対応しているが、その他のより低コストな国に生産をシフトするシンプルなプランは見つかっていない。英ロイター通信が伝えた。

　玩具メーカーのハズブロは6年前、インドの耐久財及び航空機部品メーカーであるイクスに下請け協力を持ちかけた。イクスの消費財垂直産業担当者は、「玩具製造に進出できるならば、価値にして数百万ドルの生産を中国からインドにシフトするとハズブロから言われた。当社は数年内に少なくとも1億ドルの業務を獲得できれば投資できると答えた」と述べた。

　しかし同氏とその他のメーカーは、インドとその他の国は効率で中国に敵わず、これが企業の低コスト生産拠点へのシフトの取り組みの妨げになっていることを認めた。「当社はインドで中国のような港と道路を持たない。中国は過去30年に渡りその建設に取り組み、その効率はインドを大きく上回る」

　S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの貿易データサービス「Panjiva」の米国及びEUの輸入データによると、昨年7月末現在で米国及び欧州で販売されている玩具のうち中国大陸部製が79％を占めている。玩具メーカーのバンダイは主に中国大陸部で生産しており、一部の製品を中国台湾、日本、ベトナムで生産している。

　S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのクリス・ロジャース氏は、「中国大陸部からのシフトは容易ではない、これは玩具もそうだ。玩具は季節的な影響を受けやすく、提携先に1年の大半の時期に在庫を残すよう求めると、より複雑なことになる。玩具メーカーは安全性、調達、労働者の待遇の保証の面でより厳しくなる必要がある」と述べた。秋に販売される玩具は5月より生産を始め、それから保管や輸送を行う。

　中国製玩具への米国の関税についてはまだ考慮する必要がないが、共和党の一部の政治家が中国との永久かつ正常な貿易関係の地位の放棄を呼びかける中、この状況に変化が生じるかもしれない。全米小売業協会は、この措置により米国の玩具の価格が5分の1以上高騰する可能性があると発表した。

　玩具メーカーのMGAエンターテインメントは、インドやベトナムなどからの多様な調達の壁となるのがインフラであることに気づいた。MGAエンターテインメントのアイザック・ラリアンCEOは、「インドには事実上、ある州から別の州に移すだけでも膠着状態に陥るという問題がある。馬鹿げた規定が多すぎるのだ」と述べた。

　｢中国網日本語版(チャイナネット)｣2024年1月17日