電気自動車（EV）、電動スクーター、電動三輪車などの目立たない乗り物。筆者は長年に渡り中国で生産される驚きの小型電動車の報道に従事している。デジタル業界で十数年働いた後、これらの興味深く実用的な車が生産されている場所をもっと早く訪れるべきだったと感じた。そこで中国に行き複数の工場を訪れ、最も需要な業界内のメーカーを取材した。米自動車情報サイト「Electrek」が伝えた。

　雅迪の拠点の見学と試乗。雅迪は電動バイク業界の大手だ。本社を中国に置くこの企業は真のグローバル企業になり、海外に8カ所の生産・研究拠点を構え、世界で重要な市場シェアを占めている。雅迪は世界最大の電動バイクメーカーと称し、昨年は1600万台を生産した。筆者は雅迪安徽拠点の厖大な建築群を訪れた。十数軒の巨大工場の中には従業員が休憩時に使用する素晴らしいサッカーコートがあった。筆者は拠点全体で何度も重大なテーマを感じた。生産と効率に注目するだけでなく、従業員に快適で有益な勤務条件を整えることを非常に重視していたのだ。組立ラインのエアコンや従業員用の図書館を揃え、さらには工場内の放送で彼らが好む音楽をかける。これらは多くの西側の人々が中国の工場で目にすると思っていたものとはまったく異なる。同じく印象的だったのは、製造中の多くの部分がロボットにより自動化されていたことだ。これは労働者の肉体労働が減り、監督としての役割を担うことを意味する。もちろん最も面白かったのは雅迪製のさまざまな電動バイクに試乗できたことで、そのうち数モデルは米国で発売されるか発売済みだ。

　安乃達の電動車モーター及び駆動制御システム。この中国企業の名前を聞いたことはないだろうが、電動自転車や電動スクーターに乗ったことがあるならば、知らぬ間にその製品を使用しているかもしれない。米国の多くの電動自転車企業は同社のモーター、制御装置、ディスプレイ、その他の部品を使用している。この中国企業はさらに製品ラインナップの多様化を実現した。欧州企業に低出力モーターを提供し、さらに米国の電動バイクメーカーにより高出力のモーターを提供している。

　摩獣出行のMC10電動オフロードバイク。筆者はこの中国企業を設立当初から注目してきた。同社は今や成熟した中型電動バイクメーカーになった。その最新製品であるMC10電動オフロードバイクは業界に挑戦した。筆者は本物のオフロードの乗り手ではないが、このバイクに乗ると力強い登坂能力と快適な乗車体験に魅了され、そのスピードに驚かされた。これは私のテクニックのお陰ではなく、この中国企業の優れた設計を十分に示した。

　溧水電子研究所有限公司の制御装置。これもほとんど名前が知られていないが、ほぼ間違いなくその製品を使用したことのある中国企業だ。筆者はその工場で、世界の電動自転車大手が皆使用する制御装置、ディスプレイ、その他の部品の設計と製造の様子を目の当たりにした。彼らの多くの取引先リストの中には、テスト中の数百種の電動バイクがあった。業界内のほぼすべての企業がその制御装置を使っているようで、北米市場の大型ブランドと欧州の大企業も含まれていた。この目立たない企業はどのようにして、多くの大手メーカーの経営を支える主な駆動力になったのだろうか。

　五征の電動三輪車。電動三輪車はアジアで人気があり、中国では米国におけるピックアップトラックのような存在だ。五征は毎年、電動三輪車を数十万台製造する。耕地や農業により適したコンバーチブル電動三輪車や、全天候で乗車でき、荷物を雨、直射日光、凍結から守る車。同社は各種シーンに特化したさまざまな車種を生産し、さらには宅配やその他の公共事業用の車を生産する。

　麦思の電動自転車駆動システム。麦思の工場見学は筆者にとってサプライズだった。これも人々に名前を知られていないが、実際には最も複雑な電動自転車駆動装置を製造している中国企業だ。彼らは独自のモーターを設計・生産し、さらには電動自転車の乗り心地と快適性に大きな影響を及ぼすトルクセンサーなど、より高性能のモジュールの研究開発に取り組んでいる。この中国企業は欧州市場に専念しており、現在はさらに米国市場への進出を検討している。この中国企業が米国に魅力的な製品をもたらすことに期待する。

　｢中国網日本語版(チャイナネット)｣2024年4月26日