中国の第1四半期(1~3月)のマクロ経済統計が先ごろ発表されると、ドイツ銀行や米ゴールドマン・サックス、スイス銀行大手UBSなどの外資系金融機関が来年の中国経済の成長見通しを上方修正した。中国経済に対する「信任票」を投じるとともに、中国の金融市場や資本市場への投資機会にも楽観的な見方を示した。
英資産運用大手フィデリティ・インターナショナルは、多くの好材料に支えられ、楽観論が芽生えていると指摘。中国市場の長期的な成長への投資というテーマは変わっておらず、中国の経済成長が次の段階に進むにつれて、新たな投資機会も訪れるだろうとの見方を示した。
同社アジア債券投資ディレクターチームの責任者、陳詠詩氏はこのほど、中国政府は引き続き、補助金や的を絞った信用貸付支援(自動車ローンの頭金比率の引き下げなど)を通じて耐久財のアップグレードを促すなどの支援策を講じており、工業生産や製造業の機会の一段の拡大につながるとみられると語った。
中国国家外貨管理局が発表した最新統計によると、海外勢による中国債券の保有高が最近、大幅な回復傾向にある。同保有高は昨年1年間で230億ドルの純増だったのに対し、今年は第1四半期だけで416億ドルの純増となった。今年3月末時点で保有高は5700億ドル超と、発行残高の約2.6%を占め、昨年末から0.2ポイント上昇した。
同局の王春英副局長兼報道官は、国務院情報弁公室が開いた記者会見で、海外からの中国債券投資は安定した増加傾向が続く見通しだとした上で「人民元の国際的な影響力は年々に高まっており、人民元資産は海外勢にとってグローバル運用を行う上で重要な投資先の一つとなっている」と語った。
このほか、香港市場経由で中国本土へ流入する投資資金「北向き資金」が再び中国A株市場に大量に戻って来ており、海外勢が人民元資産を積極的に積み増ししているシグナルともなっている。統計によると、今年第1四半期の「北向き資金」の累計純流入額は682億2300万元と、昨年1年間の437億元を上回った。
今後の見通しについて業界関係者は、各種マクロ政策が継続的に強化されることで、国内経済は回復に向かい、外国人投資家により良好でかつ安定したマクロ環境が提供され、人民元資産の長期的な投資価値も一段と高まるとしている。
王氏は「中国人民銀行と中国国家外貨管理局は足元で、より多くの海外機関投資家が債券レポ取引に参加できるよう市場開放を検討している」と語った。さらに、中国本土と香港間の債券相互取引制度「債券通(ボンドコネクト)」ルートの債券で、同金利スワップ相互取引制度「互換通(スワップコネクト)」の証拠金を相殺するなど、活用の場を広げるよう検討していると説明。また、海外勢の市場への直接参入や、「債券通」・「互換通」の運用の仕組みを最適化することで、海外機関投資家との交流やコミュニケーションを引き続き強化し、より良い投資環境づくりに取り組んでいくとの考えを示した。
野村アジアパシフィック・ホールディングス代表取締役社長兼中国委員会主席を務める豊島賢士氏は先ごろ、メディア取材に対し「中国の資本市場の双方向開放が進み、国内外の金融市場の相互連携が深まる中、当社は引き続き中国資本市場の開拓に力を入れ、中国の顧客に総合的な金融サービスソリューションを提供していきたい」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年5月4日