フランスの国際問題専門家で、中欧米グローバルイニシアティブ(CEGI)の発起人であるデビッド・ゴセット氏は5月7日付けチャイナ・デイリーの論説で、「米国は中国の台頭を正しくとらえ、協力のチャンスを逃さず、共同繁栄を目指すべきだ」と指摘した。
記事は、「2024年の米大統領選挙で中米関係はさらに複雑になるかもしれないが、それにより両国関係の情勢が大きく変わる可能性は低い」とした。
米国政府の中国に対する恐怖は明らかだが、その根底にあるのは、中国も米国と同様に世界での主導的地位を目指しているという考え方だ。米国防総省のネットアセスメント局からCIA・FBI・国務省に至るまで、米国の主要機関や組織のアナリストは、中国が米国と同じように力を行使するとの考えに固執しているようだ。
結局のところこの仮説は、もし中国に米国のような自由に使える資源があれば、中国は同等の主導的地位を目指すというものだ。しかし実際のところ、中国が世界で最も物質的に豊かな国になったとしても、その影響力は異なる形で発揮されるだろう。
中国が世界の舞台の中心に躍り出ることは、覇権主義的な行動とは全く異なるものであり、混同すべきではない。根本的に言えば、中国の目標は米国のそれとは大きく異なっており、この違いに基づいてこそ、両国が「トゥキディデスの罠」を回避することが可能となる。米国や他の西側諸国は、ゼロサムゲームに陥ったり、世界を前例のない危機にさらしたりしないように、中国の権力への道は自分たちとは異なることを認識しなければならない。
中国の力と影響力が増大するにつれ、国際舞台における中国の台頭は否定できないものとなる。しかし、これは必ずしも米国や西側諸国の衰退につながるわけではない。彼らは中国の成功を脅威とみなすよりも、むしろ中国と協力の機会を逃さず、共同繁栄を目指すべきだ。
米国と西側諸国には中国を改めて認識する時間がまだ十分にある。中国の台頭を正しくとらえることは、緊張を緩和するだけでなく、新たな協力の道を切り開くことにつながる。繁栄する中国と自信に満ちた欧米諸国は、人材と創造力を結集して、人類が直面する差し迫った課題を共に解決することができるのだ。
米国と西側諸国は中国の台頭をその主導的地位に対する挑戦と見るべきではなく、より包摂的で公平なグローバルシステムを構築するチャンスと見なすべきだ。中国・欧州・米国が目指すべき目標は、互いに足を引っ張り合うことではなく、グローバルな考え方を育むことだ。物質的であれ何であれ、価値を創造するために協力を促進することだ。それが平和と調和を実現するための唯一の方法だ。
記事は最後に、「中米関係の今後数年間の発展の軌跡は、考え方の根本的な転換を実現できるかどうかにかかっている」と強調する。もし米国と西側諸国が、中国の発展への道筋が他と異なることを認識するとともに、競争よりも協力を優先するなら、そして中国が引き続きその伝統的な知恵を指針とするならば、世界はこれまでにない前進の時代を迎えると期待される。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年5月19日