EUは今週、中国から輸入する電気自動車(EV)への臨時制裁関税の導入を発表する見込みだ。しかし欧州諸国はそれと同時に、中国のEV工場と雇用機会の争奪を続けている。
ロイター通信は10日、「ベイン・アンド・カンパニーのパートナーのディロレト氏によると、BYD、奇瑞、上汽などの中国EVメーカーは中国国内での製造コストがかなり低いが、ブランド樹立、輸送費節約、将来的な関税リスクの回避を目的に、欧州で工場を次々と設置している。欧州諸国の政府は、割安な中国製EVの市場進出に慎重な態度かもしれないが、欧州で工場を建設する中国自動車メーカーを誘致しようとしている」と伝えた。
ロイター通信はその例として、「ハンガリーは、BYDの欧州初の工場の誘致に成功した。また長城汽車とはその欧州初の工場について交渉中だ」と伝えた。
スペインとイタリアもEVの工場建設を競っている。ロイター通信によると、スペインは欧州でドイツに次ぐ自動車生産2番手で、すでに奇瑞からの投資を受けている。後者は現地の企業と提携し、第4四半期にバルセロナの旧日産工場で生産を始める予定だ。報道によると、奇瑞はスペインが2020年に開始した、EV及びバッテリー企業の工場建設の誘致を狙いとする、総額37億ユーロ規模の刺激策の対象となる。中国新エネシステム企業の遠景科技集団はすでに3億ユーロのインセンティブを受けており、これを投資総額25億ユーロのバッテリー工場の建設に充てることで、3000人分の雇用枠を創出する。
また報道によると、イタリアは2025-30年に総額60億ユーロ規模の政府自動車基金を運用し、自動車購入者と製造メーカーにインセンティブを提供する。うち中国の東風汽車はイタリア政府と投資交渉に入っている復数の自動車メーカーの一つだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年6月12日