中国と米国の政治及び貿易の対立において、いわゆる中国の「過剰生産能力」ほど騒がている説はない。しかし実際には多くの分かりやすい理由により、中国企業は多くの西側企業に勝っている。香港紙「南華早報」が伝えた。
一つ目の強みは、中国の多くの業界に自発的な激しい競争が存在することだ。中国では、ある製品もしくはある業界で成功を収めようとするならば、全力でその他の多くの企業を追い抜こうとする必要がある。これは競争による結果だ。順位は中国で非常に重要で、これは中国の人口が多いことと関係している。その一部の人にとって、かつての貧困は未だ記憶に新しい。西側の大半の地域と比べると、これは全く異なる歴史的な経歴だ。
また、西側企業(特に米国企業)は重大イノベーションの面で世界をリードするかもしれないが、中国企業は「マイクロイノベーション」に長けている。中国企業はスマートフォンや電気自動車(EV)を発明しなかったが、これらの製品の生産のペース、品質、購入可能性を高めている。EVの充電器を例とすると、多くの中国企業が非常に類似する製品を生産している。生産価格をやや引き下げ、毎回ちょっとした機能を追加することで、世界の多くの競合他社に大差をつけている。中国企業間の競争は現在も激化しており、これに勝ち抜いた者がよりスムーズかつより良くマイクロイノベーションを行う企業になる。
地理的要素は、中国企業が多くの面で世界のその他の地域の同業者に勝るもう一つの重要な理由だ。シリコンバレーが科学技術者の中心地であるのと同様、中国は想像できるすべての業界に向け関連するサプライチェーンセンターを構築した。これらは主に珠江デルタと長江デルタに集中している。これらの産業クラスタはスムーズにイノベーション、創業、生産、小売りを行える。
米国の食品サービス業界の経営者は筆者に、自社製品は依然として中国で製造されていると述べた。中国は「サプライチェーン全体を一国に集中できるだけでなく、時にはそれを1本の街に集める」という。このハイリスクな競争、マイクロイノベーション、産業クラスタ、良好な教育を受けた向上心の強い人民が結びつくと、世界のその他の地域が特定の業界で中国と競走することが困難になる。
米国及び欧州の企業は今や、かつてリードしていた多くの業界で衝撃を受けているが、競争を阻止してもより多くのイノベーションを刺激できないだろう。産業政策と「過剰生産能力」ばかりにスポットライトを当てることで、中国企業の台頭に関するその他の顕著な理由を覆い隠している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年6月12日