米国経済の懸念ムードが連日広がりを見せている。事の発端は1日だ。米労働統計局は同日夜、7月の非農業部門雇用データを発表した。7月の米国の非農業部門雇用者数は11万4000人で、17万9000人を大きく下回った。7月の失業率は前月比0.2ポイント増の4.3%で、2021年10月ぶりの高い数値となった。
恐慌ムードを受け、米主要株価指数が2日、軒並み下落した。S&P500は1.84%安、NASDAQ総合は2.43%安、NYダウは1.51%安。「恐慌指数」と呼ばれるシカゴ・オプション取引所SPXボラティリティ指数(VIX)は23.39をつけ、2023年3月ぶりの高い水準となった。またドルインデックスが急落し、103に迫った。同時に人民元の対ドルレートが大幅に上がった。北京時間2日深夜で、オンショア・オフショア人民元の対ドルレートが1ドル=7.16を突破した。
決算データが思わしくなく下落していた米テック企業の株価がさらに圧力を受けた。先週金曜日の終値で、アマゾンは8.78%安、インテルは26.06%安。ウォール街は高金利により抑えられていた小型株が盛り返すと予想していたが、市場では脆弱な経済によりその利益が減るとの懸念があり、株価が同日急落した。ラッセル2000指数はこれに伴い4.2%安となった。米商務省が同日発表したデータによると、米国の6月の製造業新規受注は前月比3.3%減だった(5月は同0.5%減)。うち耐久財受注は6.7%減、交通輸送設備受注はさらに29.6%と激減した。
2日付米紙「USAトゥデイ」はいわゆる「サーム・ルール」を引用し、米国が景気後退に陥る可能性を分析した。経済学者のクローディア・サームは、直近3カ月の失業率を過去12カ月でもっとも低かった失業率で引いた数が0.5を上回ると、景気後退に陥るとした。「サーム・ルール」によると、米国の失業率が4.2%を上回ったため、景気後退の基準に達した。パウエルFRB議長はデータ発表前に「サーム・ルール」について、経済学の法則が必ず発生するとは限らないと述べた。しかしこの法則の1970年代以降の精度が100%にのぼることは実践によって証明済みだ。