中央経済活動会議では、科学技術イノベーションと産業イノベーションの融合発展を促すとし、かつ「科学技術イノベーションで新たな質の生産力の発展をけん引し、現代化産業体系を建設する」を2025年の9つの重点任務の一つとした。これは党中央の科学技術イノベーションへの高度な重視を十分に示しており、科学技術の戦略的先導の地位と根本的な支援力を明確にした。中国式現代化は科学技術現代化を支えとする必要があり、質の高い発展の実現は科学技術イノベーションによる新たな原動力の育成が必要だ。
哈爾浜(ハルビン)工業大学商学院長の馬濤教授は、「科学技術イノベーションは産業の需要としっかり結びつくことで初めて、経済効果及び国の競争力に転じることができる。世界経済の成長率が低下する中、科学技術イノベーションと産業イノベーションの融合発展の深化により、本土産業チェーンの独自のコントロール力を高め、質の高い製品とサービスの輸出を拡大し、世界の産業分業における中国の競争力を高めることができる。中国が複雑な国際環境において高水準の対外開放の強みを保ち、世界のバリューチェーンの川上に上がるよう後押しできる」と述べた。
一部の大学と地方政府はすでに、融合発展の模索と実践を開始した。哈爾浜工業大学重慶研究院は、哈爾浜工業大学と重慶市両江新区が共同建設した新型研究開発機関だ。同研究院は科学研究と産業化の同時重視を堅持し、15の科学研究チームを集めた。科学研究成果の転化を通じ、現地の産業構造最適化と産業のモデル転換及び高度化を後押しする。例えば低空経済の産業発展の需要を見据え、水素燃料電池の応用における問題点に焦点を絞り、最大航続時間9時間で最大積載量7000グラムのドローンを研究開発した。航続時間は同レベルのリチウム電池ドローンの3−4倍で、送電線や石油パイプラインの巡回点検などのシーンで強みを持つ。同研究院の明月湖・紫丁香科学技術イノベーションパークは現在まで約100社のテック企業をインキュベートしており、年間生産高は1億元以上にのぼる。
同済大学経済・管理学院教授で、上海市産業イノベーションエコシステム研究センター執行主任の陳強氏は、「現在はいくつかの注目すべき動きがある。まずは科学の発見から技術のブレイクスルーへ、さらに新製品・新業態の出現から新産業の誕生へのペースが徐々に上がり、期間が大幅に短縮されている。次に科学研究のスタイル、科学研究の組織形式、技術ブレイクスルーのモデルが急速に更新され、科学技術進歩が産業の変革に影響を及ぼす形がより豊富になっている。それから画期的なイノベーションのゼロイング効果の顕在化が加速し、産業の安全への影響が日増しに強まっている。さらに科学技術と産業競争の重心が徐々に前方に移り、競争の体系化とエコシステム化の特徴が日増しに顕著になっている」との見解を示した。
陳氏は、「この動きの裏では挑戦とチャンスが併存している。科学技術イノベーションと産業イノベーションの融合発展の重要性と必要性が顕著だ。そこに存在する詰まりと難点を全面的に分析・識別し、体制及びメカニズム改革の突破口を見つけ、総合的に策を打ち出すべきだ」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年1月1日