鳥インフルエンザの感染状況の悪化に伴い、鶏卵の供給逼迫が長引いている。今や米国の大型スーパーの店に並ぶ鶏卵は高いだけでなく、購入が困難だ。ニューヨークでは鶏卵1ダースの価格が例年の2−3倍になっている。米国農務省は、鶏卵価格は年内に41%上がり記録を更新すると予想した。
復活祭が近づく中、鶏卵の需要がさらに拡大し、米政府を焦らせている。欧州に支援を求めた後、米国農務省のロリンズ長官はトルコと韓国から鶏卵の輸入を開始したと述べた。また鶏卵供給について他国と協議中だという。
関税戦争を宣言した強硬な態度と比べると、鶏卵の購入を求める米政府の態度は懇切丁寧だ。ロイター通信が報じた書簡によると、米国農務省駐欧州代表は2月末、デンマーク、スウェーデン、フィンランドなどの欧州諸国に対して、「米国に提供できる鶏卵の量を見積もって欲しい」と立て続けに依頼した。
米国のバブコック教授(農業経済学)の分析によると、米国は現在の鶏卵価格を引き下げるためおよそ10億個の輸入が必要だという。
米国農務省がこの要請を出しながら、米政府は欧州を含む多くの国に関税を課している。鉄鋼及びアルミニウムへの25%の関税がすでに発効しているが、米国はさらにEU諸国から輸入する酒類に200%の関税を課すと発表した。また米国はデンマークに対して、グリーンランドの管理権を米国に渡さなければ経済制裁を行うと脅迫し、圧力をかけている。
欧州はどのように答えるだろうか。その答えは予想に難くない。
デンマーク鶏卵協会は、調査を行うが「欧州の鶏卵は余っていない」とした。ノルウェーメディアは、同国の大半の鶏卵資産者の答えは「ノー」だと伝えた。フランスの鶏卵産業組織「SNIPO」のトマ・バトレット事務総長は、「フランスにはなく、欧州も少ない」と述べた。英国の業界メディアは、米政府の関税政策はまだ直接鶏卵に向けられていないが、農業サプライチェーン全体に連鎖反応をもたらし、生産者のコストを拡大するとした。
鳥インフルエンザはしばらく続き、鶏卵不足も続くとみられる。米国の人々は「別の道」を切り開いた。ある人は自宅で鶏を飼育し卵を産ませ、ある人は鶏卵を使わないケーキを開発した。米国のメキシコやカナダとの国境地帯では鶏卵密売が激増している。法執行担当者はさらに麻薬犯罪者が覚醒剤を隠すトラックからも鶏卵を発見した。
関税戦争を仕掛けながら鶏卵を欲しがる。米国の保護主義は世界の貿易体制をかき乱した。追加関税は米国を再び偉大にできず、鶏卵価格を高止まりさせるだけだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年3月26日
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