世界の通貨体制が大きな変革を迎える今、人民元の国際化に重要な好機が到来した。元国際通貨基金(IMF)副専務理事の朱民氏は先日、「強い人民元への道——世界の主要通貨競争」と題したシンポジウムで、地経学的変動などの影響により、ドル覇権の基盤は根本的に揺らいでいると指摘した。
朱氏は、米国のGDP(国内総生産)が世界全体に占める割合は40%超から現在の約25%に低下した一方、ドルの国際準備通貨に占める割合は依然58%と、米国の経済力を大きく上回っていると指摘。これに対し、人民元の国際的な使用シェアは中国の経済的貢献を大きく下回っている。朱氏はまた、この「ミスマッチ」の構図こそが、人民元国際化の重要な突破口であるとの見方を示した。また、デジタル通貨といった新たな領域も、人民元国際化に差別化された道筋を示しているという。
朱氏は、ドルの信用を支えてきた「財政規律」「低インフレ」「中央銀行の独立性」という三本柱に近年、亀裂が生じていると述べた。米国の財政赤字と債務の利払い負担は増加の一途をたどっており、利払いコストが経済成長率を上回れば、米国は「技術的破綻」のリスクに直面する。2025年4月に米国が関税引き上げを発表した後、ドル・米国株・米国債が同時に下落する異例の事態が発生。市場はドルに「ノー」を突きつけた。
中金公司(CICC)の彭文生チーフエコノミストは、過去10年間でドルの実質実効為替レートは50%上昇したが、その背景には人工知能(AI)への設備投資による米国経済の力強い成長のけん引があると指摘。一方で、反グローバリゼーションと金融制裁によって金融資産の汎用性が弱まり、それに対応して実物資産の重要性が高まっていると述べた。世界最大の製造国で、世界最大のモノの貿易国である中国は、この流れの中で自ずと強みを握っている。
複数の専門家は、未来の国際通貨体制は単純な「ある通貨から次の通貨へ」という形ではなく、多様な通貨のエコシステムが併存し、複数の通貨が競争する局面になる可能性が高く、それはグローバルなパワーバランスの再構築の表れでもあるとの見解を示した。朱氏は、「この段階において、強い人民元とはドルに取って代わることではなく、多元的なシステムの中で自らの位置を見つけることであり、人民元が世界へ踏み出すには十分に大きな余地がある」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2026年6月11日
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