南方の広州、香港、珠江デルタ地域では、民間の人々が七夕節を重んじている。香港では「織女廟」が建てられており、乞巧の行い方もさらに各種各様である。女性たちは早くから「姉妹会」という集まりをつくる。資金を募って供え物を買うほかに、自らの腕を披露する工芸品をつくるのである。たとえば、細く割った竹や色紙でつくるカササギの架け橋、細木でつなぎあわせた亭台楼閣、ガラスや色紙、実をくりぬいた柚子の皮、卵の殻で作った灯籠、丹念につくったカラフルな刺繍工芸、巧みな造形のかぐわしい生け花、リンゴや桃などを削ったり、積み重ねたりして鳥や獣をかたどった、くだものの盛り合わせなど……。
夜になると、女性たちは供え物や工芸品をいっぱいに並べたテーブルの周りに座り、詩を吟じたり、なぞなぞ遊びをしたりする。また、広東省の地方劇・粤劇で使われる歌の「粤曲」を歌い、広東省の民間音楽「八音」を演奏するなどして、楽しく過ごす。
七仙女を拝む
深夜12時は、伝説の織女が下界に降りるといわれる時間である。この時間になると、みな大喜びで織女を迎え、さらに針に糸を通すなどの方法で知恵くらべや器用くらべをする。そして最後に軽食やくだものを食べて、宴会を楽しむのである。女性のみの七夕節とは異なり、南方のこの祭りでは男性も歓迎される。若者たちは工芸品を誉めたたえるのをキッカケに、頭がよくて手先が器用な恋人を見つけるのである。
「人民中国」より 2009年8月25日