中国、英国、米国の研究者が8月31日に発表した研究レポートによると、四川大地震の生存者の一部に、地震後十数日間にわたり、大脳機能の失調が見られた。このことは、大災害後、被災者の心のケアをいち早く展開し、治療を行うべきであることを示唆していると、研究者らは考える。新華社が1日に伝えた。
この研究は中国四川大学華西学院、英国ロンドン大学キングスカレッジ、米国イリノイ大学などの研究者が共同で行ったもので、論文は総合学術誌「米国科学アカデミー紀要」の最新号に掲載された。
研究の指導を行った四川大学華西学院のコン啓勇・教授は「地震発生後13日目より、私たちは生存者に対して脳のMRIスキャンを開始した。結果、大脳内の情緒、記憶をつかさどるシステムに短期的な変化が見られた」と語る。
研究者らは新型のMRI技術を利用し、震災後13日目-25日目にかけて、震災を経験した健常者の大脳スキャンを行った。その結果、前頭葉、辺縁系および線条体の活動が活発になり、またこれらのエリアでは、異なる脳構造間の接続性が弱まっていたことが分かった。
研究者は、「このことは、大災害の生存者は短期的に見るととても健康に見えるが、実際には精神病のリスクを抱えているということを示す。しかも、生存者の一部は、大脳の関連エリアに構造上の変化が現れる可能性がある」と述べる。過去の研究によると、精神的な強度のプレッシャーは、大脳機能の変化を招くだけでなく、脳の構造にも変化をもたらすことが分かっている。(編集SN)
「人民網日本語版」 2009年9月2日