中国コンピュータ学会の専門家、張雲泉氏は現在ドイツで今回の国際スパコン学会に出席している。取材に応え、興味深いエピソードを教えてくれた。2010年11月の前回スパコン会議の席上、中国はアメリカの手から世界トップの座を奪ったばかりだった。日本の科学者は会議期間中、中国の科学者を見るたびに会釈はするものの、一言のお祝いの言葉もなかったという。以前からよく知っている人でもこうだった。ところが、今回の会議では日本の科学者の態度は一変、中国人の科学者に非常に親しげに接し、積極的に交流していたのだという。気分もよく、顔には自信と誇りがうかがえた。すなわち、中国から世界第一位を奪取したことは日本人にとってとても重要なことだったのだ。
張研究員によれば、日本の知り合い曰く、もともと今年の11月に完成予定だったスパコン「京」を今回前倒しで完成させる計画は日本の最高機密だったという。知る人は10人に満たないほどの機密だ。これによっても日本政府と科学者が中国に経済で先を越され、スパコンでもアジア二位という立場に追い込まれたことに耐えがたく、半年も待てなかったことが伺われる。
弱みはみせない アメリカは世界トップを狙う