台湾の有名な日本文学翻訳者の林文月氏が翻訳した「源氏物語」や「枕草子」、「伊勢物語」、「十三夜」が先ごろ、訳林出版社から出版された。中国大陸部では初めてとなる。「北京晩報」が伝えた。
「源氏物語」は日本の物語文学の最高峰とも呼ばれ、中国でも相次いで10数点の翻訳本があるが、その中でも有名なのが豊子ガイ氏の翻訳だ。林文月氏の翻訳は豊子ガイ氏の後に行われたものだが、豊子ガイ氏の翻訳を参考にしておらず、逆に独特のスタイルとなっている。
林文月氏の訳本は日本の小学館の1970年版の日本古典文学全集の「源氏物語」を定本としており、この「源氏物語」は現在の日本の権威的な研究者である阿部秋生、秋山虔、今井源衛の各教授が共同で校注・釈した最も信頼度の高いものだ。林文月氏はこの小学館版を基に、さらに角川文庫の1972年版と与謝野晶子訳の「全訳源氏物語」、中央公論社の1969年版の谷崎潤一郎訳の「潤一郎新訳源氏物語」、新潮社の1972年版の円地文子訳の「源氏物語」、その他2種類の英訳本を参考として、5年半かけて何度も修正し、最終的な翻訳を完成させた。また林文月氏は女性翻訳者として、作者の紫式部の内面世界をより理解でき、使う言葉の選び方にもより細かく気を配り、訳文が一層高雅なものとなっている。