サイエンス誌、中国の生体認証研究の成果を紹介
米科学誌サイエンスでこのほど、「中国、生体認証研究に焦点(China’s Sharp Focus On Biometrics)」と題する記事が掲載され、生体認証(バイオメトリクス)の世界最先端研究分野における中国の進展および実際の応用実績などが大々的に紹介された。科技日報が報じた。
同記事は、中国科学院自動化研究所の李子青研究チームが行った防犯カメラの大容量映像データの分析研究と応用(大容量映像分析判定システム)について紹介したほか、照明変動やなりすましといった顔認証の難題を解決する近赤外線・マルチスペクトル顔認識技術のイノベーションについて紹介した。
同記事は、「生体認証研究は今、中国で急速に発展している。これは政府による継続的な科学研究費の投入とハイレベルな研究人材、および実際の応用におけるアルゴリズムの進歩によるものだ」と指摘。さらに同分野の専門家である米ミシガン州立大学教授Anil K. Jain氏の発言を引用し、「中国トップレベルの画像処理と機械学習研究室は今や、米国のトップクラスの大学・研究機関と互角に張り合えるレベルとなった」とした。EUの第7次研究枠組み計画(FP7)の担当者であるスイスIDIAP研究所のSebastien Marcel氏は「中国のハイレベルな論文には注目が集まっている」と述べた。
記事はまた、生体認証における生体検知技術をめぐる李子青研究チームの進展について紹介。「現在ほとんどの顔認識システムは顔写真や映像によるなりすまし攻撃を受けている。同研究チームはEUのFP7プロジェクト『信頼性の高い生体認証法』に参加し、生体検知の問題点について研究を行い、近赤外光源による顔認識設備とシステムを発明した。同システムはマルチスペクトルの特徴を利用し、なりすまし攻撃を防ぐことができる」。
「人民網日本語版」2012年10月17日