涙を拭い続ける老人、両手を合わせて目を閉じストーリーの中の母親を哀悼する老人、興奮して「ありがとう、ありがとう」と言う老人がいる。最後に馬場さんは、「みんなの心にある苦しみも涙と一緒に流れ、永遠に戻らない」と結んだ。
ニチイホームの担当者は、「最初は悲しい話を聞いた老人は感情的になったり、不安になったりするのではないかと心配していたが、みんな熱心に聴き、共感している」と話した。82歳の女性入居者は、「初めは落語を聞かせに来たと思っていたが、聞いて初めて違うとわかった。彼は本当にうまく話し、戦時に1つの卵を一家で分け合って食べたことを思い出した」と述べた。
日本の脳生理学の専門家である東邦大学の有田秀穂名誉教授は、科学的な角度から涙が自律神経に与える効果を説明した。涙が出ると脈がゆっくりになり、緊張状態にある交感神経はリラックス状態の副交感神経に自動に切り替わる。このとき、脳は寝ているときと同じ休息状態になる。涙を流すことは人体に生まれ備わった究極のことであり、最良のストレス解消法でもある。「1回の大泣きで、1週間前後精神を安定させることができる。できれば、週末に5~10分時間を作り、積極的に泣くことを習慣にしてほしい」と話した。
涙と関わる活動が近ごろ日本で人気を呼んでおり、馬場さんのような人を泣かせる人材も増えている。東京都内で始まった「涙活」は今では各地に広まり、大阪では漫才師が集まって「涙活カンサイ」を行い、名古屋にも「涙活」などを主催する精神科医がいる。このまま発展し続ければ、近い将来、「週1で泣く」のが日本の「国民のよい習慣」になる可能性がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年1月5日