陝西省北部では、ガッシリとした男たちが頭に白いタオルを巻いて、腰に掛けた太鼓を打ち合う。それはまるで雷鳴のような力強さだ。東北地方の村に伝わる「二人転」は、二人の男女が歌って踊る茶番劇で、ユーモアがある。山西省の「抬閣」(閣を担ぐ)は、古い戯曲の人物を演じる子どもを長い鉄棒の上にのせ、それを担いで練り歩く。
浙江省、福建省に伝わる「火鼎(火鉢)舞」は、昔の結婚式のようすを演じて興味深い。舅姑が炭火をおこした火鉢を担ぎ、前を歩く。その後ろに新郎新婦と介添えたちがついていく。モジモジしたようすを演じる仲人が、時おり、塩と糠を火鉢に放って、パチパチという音を上げる。観衆たちは、それを見ると押し寄せてきて、仲人の塩と糠を自分の体にまいてもらう。「塩」と「糠」の発音を借りて、新郎新婦の「縁」と「健康」を願うのである。その昔、火鼎舞を踊るときには、村人たちがたいまつをかざし、火鉢から火をつけて家に持ち帰っていた。それで家督を相続し、福を招いたことを示したのである。当時の火鼎舞は、村々をめぐるたいまつのパレードとなっていた。