清明節の紹介をする時に、中国美術史上もっともすぐれたリアリズムの大絵巻物――『清明上河図』にふれざるをえない。それは北宋の画家・張択端の傑作(現在北京故宮博物館所蔵)で、北宋の都・汴梁(開封)の清明節における社会生活の様相を生き生きと描き出している。
巻首は郊外で少数の者が墓参をしている絵で、つづいて汴河の両岸の芽をふきだした柳並木を描き、清明前後の春いまやたけなわになろうとする季節をあらわしている。林の茂みの奥のほうから、ロバの隊伍がひと群れひと群れとやってくるのが見え、路傍の村で足を休める運搬夫、田畑を耕している農民、その一人ひとりがまるで生きているようである。