高層ビルで火災発生後、地上でドローンを操作し消火弾を発射する。消火弾はガラスを突き破り消火剤を散布し、火を消し止める。これは映画にしかないシーンのように思えるが、近い将来、都市部の高空で上演されるかもしれない。
この「神器」は、中国航天科工集団第二研究院二部が自主設計・開発する高層ビル「ドローン消火システム」だ。同システムはマルチコプター、消火弾、地上総合制御設備によって構築される。「赤い帽子」をかぶったドローンは折りたたみ可能で、持ち運びに便利だ。開くと数十キロの消火弾と発射装置を搭載し、火災現場付近まで飛行し、目標に狙いを合わせて発射する。この消火弾は数十ミリの厚さの強化ガラスを突き破り、室内で消火剤を散布し、効果的に火を消し止めることができる。
「コンクリートの森」の高さが上がり続け、都市部の中・高層ビルの消防問題が深刻化している。国内ではドローン産業が急成長しているが、通常は空撮などに使用されており、消防・消火に用いられる大型ドローンはまだ初期段階にある。消火設備の多くが手に持ち散布するタイプで、ドローンに搭載する消火剤は森林・草原の消防のみに限られており、狙った標的に発射できるものは登場していない。
研究開発チームによると、宇宙技術を活用するこの「ドローン消火システム」は、集積化設計、スマート化識別、精密化誘導などの一連の重要技術を凝縮している。フレキシブルで機動性が高く、操作がしやすく正確に消火できるといった多くの長所を持つ。また反応もスピーディーで、低コストだ。
同システムはすでに地上浸透試験、地上吊り下げ試験、ドローンプラットフォーム飛行制御試験などの重要技術の検証と試験を終えている。研究開発チームは今後、同システムの改善に取り組み、市場での使用の早期実現を目指す。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年1月20日