世界一標高の高い原始重力波観測所がチベット自治区ガリ地区に建設されている。完成後、同観測所は重力波の研究を大いにサポートする。全国政協委員で中国科学院高エネルギー物理所研究員の張新民氏は4日、同プロジェクトが順調に進み、1期観測室の主体工事がほぼ完了したことを明かした。
張新民氏は原始重力波観測計画、「ガリ計画」のチーフ科学者。2021~22年頃にガリ観測所を使って北天の宇宙マイクロ波背景放射分極に最高の天図を提供する計画。天図には原始重力波のシグナルが隠れている可能性がある。
ノーベル賞受賞者で重力波を発見したキップ・ソーン氏は、5~10年内に人類は原始重力波を観測すると予測した。「ガリ計画としては、このチャンスを逃すわけにはいかない。原始重力波を観測できればもちろんよいが、観測できなくても意義はある。見解の異なる宇宙の起源と進化の理論構築に役立つ」と張新民氏は話す。
2016年末、「ガリ計画」が正式にスタート。2017年3月、ガリ観測所が標高5250メートルの場所で着工した。標高が高く、乾燥した環境は宇宙マイクロ波背景放射観測地の基本条件で、北半球で最高の観測地はグリーンランドと中国のチベット自治区ガリ地区である。ガリ地区は大気の透過率が高く、水蒸気の含有量が少なく、グリーンランドと比べて完璧な観測条件を備えている。また、中緯度にあるため、グリーンランドより広範囲の天区を観測できる。
「ガリ計画」は国際協力プロジェクトで、国内外の十数チームが参加する。「ガリ計画」の望遠鏡主体部分の初期設計は中国科学院高エネルギー物理所と米国のスタンフォード大学のチームにより完成している。
LIGOでの重力波観測に重大な貢献をしノーベル賞を受賞したレイナー・ワイス氏も「ガリ計画」に関心を持っている。レイナー・ワイス氏は以前、メディアに対し「中国はこのような独特な地理条件を利用し、世界で共有する設備を建設する。全世界が中国がしようとしていることを知るべき」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年3月6日